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立憲民主党の代表選への出馬が厳しくなった小川淳也氏

「衆院選で261議席をとって勝ったという側面はあるが、正直、敵のダメさにも助けられての支持率アップだね」

 こう苦笑するのは、自民党幹部だ。目線を落とすのは、マスコミの世論調査結果だ。

 NHKの世論調査(11月5日から3日間)によると、岸田内閣を「支持する」と答えた人は、衆議院選挙の1週間前に行った調査より5ポイント上がって53%だった。11月13、14日の産経・FNN合同世論調査では、63・2%とさらに高くなった。

 10月に政権が発足し、すぐに衆院選を決行した岸田文雄首相。国会論戦もはじまっておらず、「手柄」は衆院選の勝利のみだが、支持率はじりじりとアップしている。

 自民党幹部はアゲの要因の一つ目として立憲民主党(以下は立憲)と国民民主党(以下は国民)がともに略称を「民主党」としたことをあげる。

 朝日新聞デジタル(11月12日配信)はこう報じている。

<衆院選比例九州ブロックで、「民主党」と書かれた投票用紙が福岡県内だけで10万票を超えたことが県選挙管理委員会への取材でわかった。立憲民主党と国民民主党がともに略称として用いたため、両党の得票割合に応じて「案分」された>

 この傾向は全国でみられたという。

「どちらも民主党という略称を使ったので、票が割れた。おそらく民主党の6、7割は立民に投じたものだと思われる。本当なら立民の議席はあと10〜15くらい増えていてもおかしくなかった。略称で立憲が失敗したことが、逆に自民党にプラスになった」(前出・自民党幹部)

 さらに自民党幹部は二つ目の要因として、最大野党である立憲の代表選の迷走をあげている。

 枝野幸男代表が衆院選の敗北の責任をとり、辞任表明。11月19日告示、30日投開票という日程で立憲の代表選が決まった。立憲は自民党ほど結束の強い派閥はなく、グループで緩やかにまとまっている。

 映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』で人気となり、衆院選でも香川1区で平井卓也前デジタル大臣に圧勝した小川淳也衆院議員が当初、本命視されていた。

◆実録「なぜ、君は代表になれないのか」

 小川氏が所属するのは「サンクチュアリ」という旧社会党中心のグループで、立憲では最も数が多く、27人が名を連ねる。

 小川氏は代表選が行われると決まると、11月2日に自身のツイートで<次世代で何が出来るのかを真摯に考え、取り組む所存です。私なりの決意は固まっています。すでに賛同を示して下さっている同志と丁寧な協議を重ね、改めて態度表明をさせていただきます>と意欲を示した。

 ところが、立候補に暗雲が垂れ込めている。その要因は、立憲の最高顧問や衆院副議長を務め、引退したサンクチュアリのトップ、赤松広隆氏の存在だという。

「赤松氏が毎日のように立憲の議員の事務所を訪ねては、いろいろと持ち掛けている。事実、私が不在の時も赤松氏は事務所にお越しになられた。サンクチュアリは最大グループなので、その気になれば2人の候補に推薦人を用意できる。赤松氏が院政を敷こうとし、小川氏という候補がいながらサンクチュアリがまとまらないと聞いている。他のグループも対応に苦慮している」(立憲の国会議員)