先日、朝日新聞デジタルにアピタルの「ヴィーガン給食」の記事が出て話題になりました。

「『ヴィーガン給食』取り入れた公立小学校 みんなで食べられ、みんながおいしい」と題されたこの記事は、アレルギーに対応した給食の延長として、八王子の公立小学校でヴィーガン給食を定期的に提供することになったことを紹介しています。

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朝日新聞GLOBE / Via globe.asahi.com

「他の人が食べるものを尊重し、食べるものを自ら選ぶ大切さを知る、豊かな学びの場になっている」と絶賛する内容です。

現在は削除され、朝日新聞GLOBEにのみ残っています 。多くの医療者から批判を受けましたが、何が問題なのでしょうか。

「ヴィーガン」とは? 栄養法ではなく、思想上の立場・主義
「ヴィーガン」とは何でしょう? 記事では肉や魚、卵など動物性食品を一切とらないことと紹介されています。「ベジタリアン」は菜食主義のことで、肉食だけを避けます。

ヴィーガンは完全菜食主義とも呼ばれ、肉・魚・卵・乳製品・蜂蜜も摂りません。医師の間では、十分に注意しないと多くの栄養素が不足しやすいことが知られています。鉄や亜鉛、ビタミンA、ビタミンB2とB12、ビタミンD、DHA、カルシウム、タンパク質などです。

Weblio実用日本語表現辞典によると、ヴィーガンとは、「人間による動物からの搾取に抗議し、動物性食品(動物由来の食品)一切を退ける=食べないこと、および、そのような主義をもつ人のこと」とあります 。つまり、ある種の思想上の立場、主義です。

食物アレルギーとは何でしょう? 厚生労働省の資料によると、「摂取した食物が原因となり免疫学的機序(体を守る働きを免疫と言います)を介してじん麻疹・湿疹・下痢・咳・ゼーゼーなどの症状が起こること」です。アレルギーを起こす対象は主に人間以外の動植物由来のタンパク質がほとんどです。

つまり、アレルギーとヴィーガンとは無関係。大豆・小麦・蕎麦・ナッツのアレルギーはよく知られていますね。食物アレルギーは検査ができるもので、医療機関で診断され、思想や主義とは違います。

違うもの2つを混同して、ヴィーガン給食にしたらアレルギーを持つ子もアレルゲンの心配をせずにみんなと同じものが食べられると誤解させるような記事だったため、多くの批判を受けました。

つづき
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