政府が昨年、新型コロナウイルスの感染防止策として配布した「アベノマスク」を含む布マスク。在庫の保管費用について会計検査院から指摘を受け、岸田文雄首相が希望者に配布した上で、残りを廃棄する方針を明らかにしたところ、意外にも人気殺到の状況だという。

岸田首相は21日の記者会見で布マスクについて「所期の目的は達成された」とした上で、希望する自治体や個人に配布後、廃棄する方針を表明した。会見を受けて厚生労働省には布マスクに関する問い合わせが殺到、数人の職員で対応しても、電話を切れば鳴る状況だという。

すでに希望する介護施設などへは、原則100枚単位で配布しているが、個人への具体的な配布方法は決定していない。早ければ年内にも方針を固める。

同省担当者は「(在庫のうち)どの程度、個人の方が希望しているか見通せないが、可能な限り廃棄を少なくするため、有効活用したい」と話す。

メディアでは保管費用や大量廃棄に税金が使われるとして批判の声が強いが、大阪市の松井一郎市長は23日、「布マスク需要は低いが腐るものでもない。念のために頂いておくのはありだ」などと述べ、受け入れに前向きな姿勢を示した。

ネットでも「捨てるなら欲しい」「不織布マスクの下にガーゼマスクは本当に助かる」「アトピーなどの肌の弱い人、子供にはピッタリ」などとの声がある。

医療現場に不織布マスクを優先的に配布することを目的として政府が昨年調達した布マスクは、介護施設や全世帯向けが約1億5700万枚、「アベノマスク」と呼ばれた全世帯向けが約1億3000万枚の約2億8700万枚で、支払総額は442億円を超えた。

転売が横行、価格が高騰していた状況を緩和させる効果もあったが、今年3月末時点の在庫は介護施設・保育所向けが約7866万枚、全世帯向けが約405万枚の計約8270万枚。10月末時点で約8130万枚が残る。

会計検査院の調査で、昨年8月から今年3月にかけての保管費が約6億円だったとして、報告書の中では譲与や売却などを検討するよう求めている。

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