ヒュンダイは、2022年の世界ラリー選手権モンテカルロの初日からラリー1規定の新型マシンに問題が発生しており、ドライバーがドライブ中にめまいや胸の痛みを覚えるなどの症状が出ている。チームは2日目の夜に調査と改善を行なうとしている。

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 2022年の世界ラリー選手権(WRC)はモナコ・モンテカルロでハイブリッドシステム搭載のラリー1規定での初戦を迎え、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(以下トヨタ)、ヒュンダイ、M-スポーツ・フォードの3チームが新型マシンを投入した。

 トヨタとM-スポーツ・フォードが順調な滑り出しを見せた一方、ヒュンダイは初日から新型マシン『i20 N Rally1』にトラブルが発生し、困難な出だしとなった。

 2日目にはペースを取り戻したものの、3人のドライバーが揃って問題に直面し、オリバー・ソルベルグとティエリー・ヌービルのふたりはヒュンダイの現状を「恐ろしい」と表現した。

 ソルベルグ曰く、新型マシンでの走行中に排気ガスがコックピット内に流れ込んだことで、涙が出たり、めまいや胸の痛みなどを感じたりすることもあったとのこと。そして、この問題はソルベルグのマシンに限ったトラブルではないという。

「一日中めまいがしたり、胸が痛くなったりして、とっても怖かったよ。でも、午後には少し良くなって、ギヤボックスにトラブルも出たけど、僕らは(ラリーを)続けられる」と初日を総合10位で終えたソルベルグはmotorsport.comに語った。

 排気ガスが車内に流れ込む問題を解消するためのチームプランについて尋ねると、「結局は危険なモノだから、改善することがとても重要だ。(ハイブリッドシステムは)環境には良いかもしれないけど、身体にはあまり良くはないね」と、彼は答えた。

「ペースは良いし、感触も良いからあとはマシンに自信を持てばいい。僕らはマシンには全く集中できていないし、問題解決のみに取り組んできたからね」

 また、ヒュンダイの副チームディレクターを務めるジュリアン・モンセによると、チームは2日目の夜にこの問題について調査を行ない、改善する予定だと語った。

「これから調査しなければならないが、排気ガスが流れ込んできた可能性が高い」とモンセは英Autosportに語った。

「この問題を回避する方法を見つけなければならない。今夜はマシンを調べて、改善しなくてはならない」

 ヌービルは第1ステージでi20 N Rally1のハンドリングに苦戦し、「ドライブ中にこんなに怖い思いをしたことはない」と語っていた他、チームメイトのオット・タナクと同様にハイブリッドのパワートラブルにも苦しめられることとなった。

 しかし、ヌービルはステージを重ねるに連れて新型マシンを手懐けたか、トヨタやM-スポーツ・フォードの上位陣と互角のペースを見せ、2日目終了時点で首位のセバスチャン・ローブ(Mスポーツ・フォード)から47.8秒遅れの4番手につけた。

「第1ステージではスピンを喫したりディファレンシャルが滑ったりと、怖くなってしまっていた」とヌービルは言う。

「最終的には素早く対応することができたし、いくつか問題を抱えていることを考えれば、まずまずの1日だったと思う。2日目の夜もビックトラブルなく生き残り、ここに居られることを嬉しく思っているよ」

 また、モンセは初日の苦戦を考慮すると2日目はライバル勢と戦えたことに満足しているものの、チームには課題が多く残されていると語った。

「チャレンジングな1日だったが、全体としてはポジティブな1日になった」と彼は続けた。

「初日の全体的なマシンパフォーマンスには少しガッカリしたが、2日目はマシンに問題がなければ競争力があることを示せたし、首位からは大きく離されていない」

「まあ、ふたりのセバスチャン(ローブと全体2番手のセバスチャン・オジェ/トヨタ)は別次元にいるけど、今日はポジティブな1日だった」

「マイレージを稼ぐことはできたし、重要なのは一貫性を保つことと、マシンをもう少し学ぶことだ。セットアップの作業も行なったが、今日は一貫性が重要だった」

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