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総合戦闘射撃訓練に参加した10式戦車。

北海道を防衛警備する陸上自衛隊第7師団(千歳市)において、1月27日から、「総合戦闘射撃訓練」が始まった。

第7師団は、陸自の中でも唯一戦車を中核とした編成をしており、通称「機甲師団」と呼ばれている。今回は、同師団から第71・第72戦車連隊が中心となり、射撃訓練を実施した。

訓練の頭に総合戦闘という文字が掲げられている。これは、非常に重要な意味を持つ。

陸自にはさまざまな部隊が編成されており、それぞれ普通科(歩兵)や機甲科など、かつての兵科にあたる職種を極めたプロフェッショナルが配属されている。敵がわが国に侵攻する事態となれば、各部隊を一つにまとめて戦闘団をつくる。

戦車をはじめとした敵地上戦力、航空機をはじめとした敵航空戦力に対して、戦闘団として戦っていくことが、総合戦闘である。今回は、実戦さながらの戦闘状況の中を、射撃を伴い展開していくという、非常に難易度の高い訓練だ。

第7師団において、戦闘団の核心となるのが戦車部隊だ。銀世界のなか、10式戦車や90式戦車が咆哮(ほうこう)をとどろかせる。

この訓練において敵を務めたのが、戦車や装甲車、兵士を模した板状の標的だ。これに対し、戦車をはじめとした各装備が、訓練を取り仕切る統裁部より、「出現した」との想定を与えられた瞬間とともに間隙を与えることなく、射撃していく。

厄介なのは、歩兵が持つ携帯式ミサイルだ。そこで、敵が潜伏しているであろうエリアは、特科(大砲)部隊が、後方陣地から砲弾の雨を降り注ぎ、戦力をそいでいく。

戦車部隊に守られるように、普通科隊員を乗せた89式装甲戦闘車が突撃前進することになった。

だが、その経路上に、敵の地雷原を発見。これを処理すべく、92式地雷原処理車がロケット弾を発射。このロケット弾の中には、複数の子爆弾が収納されており、これを地雷原へと落下させ、広範囲にわたり誘爆処理させる仕組みだ。

このように、各部隊が、連携しながら戦っていくのが、今回の訓練の目的であり、目標だ。

敵も攻撃を仕掛けてくる。標的が撃ち返してくることはもちろんないが、「戦車が撃破された」と状況が与えられる。

射撃を続ける戦車の1両が、見た目は無傷だが、突然「大破」を言い渡された。今回は負傷者が出たため、仲間が砲塔内から動けなくなった隊員を引っ張り上げ、外へと運び出した。戦車については、戦車回収車がやってきて、後方地域へ牽引(けんいん)していった。

最後は、戦車と機甲科が共同して、敵歩兵の目前まで迫って、これを殲滅(せんめつ)し、終了した。

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総合戦闘射撃訓練に参加した10式戦車。

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