イギリスのスーパー・チェーン最大手テスコの会長は、懸念されている食品価格の高騰について、「今後さらに悪くなる」と警告した。

テスコのジョン・アラン会長はBBCニュースに対して、イギリスで多くの人が家計圧迫のため、食べ物を買うか暖房費を節約するか苦渋の選択を迫られている状態について、「心配している」と述べた。

その上で、食品の小売店や卸業者もエネルギー価格の高騰の影響を受けていると話した。

アラン氏は、エネルギー価格などの高騰の影響が次第に小売段階へ浸透することによって、スーパーの商品価格は春までに最大5%は上がるだろうと見通しを示した。一方で、テスコの食品価格の値上げ幅は過去3カ月で約1%に抑制しているとも述べた。

「私たちはエネルギー価格の上昇に影響を受けている。卸業者もエネルギー価格の上昇に影響を受けている。それだけにおそらくインフレ率は上がるだろう」と、アラン会長は話した。

食品価格は先月2.7%上昇
アラン氏はさらに、低所得世帯では食費が家計に占める割合が特に大きいことは承知しているとして、暖房をつけるか食事をとるか、どちらか選ばなくてはならない人たちが出ていることを「自分たちも心配しているし、多くの人が心配しているはずだ(中略)誰もそんな状態に置かれてはならない」と話した。

英小売協会(BRC)が2月初めに発表した報告によると、イギリスでは1月の食品価格上昇率は2.7%だった(昨年12月は2.4%)。

イギリスの消費者物価指数(CPI)は昨年12月、前年同月比で5.4%上昇した。今年のインフレ率は7%を超えると予想されている。他方で、光熱費の価格上限が大幅に引き上げられるため、家計の光熱費負担も増える見通し。リシ・スーナク財務相はこれを受けて今月初め、数千万世帯に最大350ポンド(約5万5000円)を支給する家計支援策を発表した。

アラン会長は、「エネルギー価格の上昇に(4月に予定される)国民保険料の引き上げが合わさることに加え、影響の程度ははるかに低いが食品価格の上昇が重なり、ただでさえ誰より大変な思いをしている人たちはますます大変なことになると思う」と話した。

一方で会長は、テスコでは自社ブランドのパスタや米など主食品の値上げ幅が、インフレ率よりも大きいとする貧困対策活動家ジャック・モンロー氏の指摘に反論。「値段は個々の商品によって異なる。コーヒーは値上がりしているが、テスコで一番安いベイクトビーンズの缶は5年前よりも安くなっている」と述べた。

「他社のことは言えないが少なくともテスコでは、2100種類の商品が最安値になっている(中略)最安値の商品の種類はこのところ減るのではなく、増えている」と会長は話した。

(英語記事 Worst to come for food price rises, Tesco boss says)

https://www.bbc.com/japanese/60283775