3つの空母打撃群が統一行動
 アメリカ海軍第6艦隊は2022年2月7日(月)、フランス、イタリア両国とともに地中海で共同訓練を行ったと発表しました。

 参加したのはアメリカの空母「ハリー・S・トルーマン」を中心とした空母打撃群で、フランスからは空母「シャルル・ド・ゴール」を中心とした「タスクフォース473」、イタリアからは空母「カブール」を中心とする戦闘群です。この3か国の空母と随伴する多くの艦船が統合され、訓練しつつ一定期間、艦隊を組んで航海しました。

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並走する米仏伊3か国の空母。手前からフランス空母「シャルル・ド・ゴール」、イタリア空母「カブール」、アメリカ空母「ハリー・S・トルーマン」(画像:アメリカ海軍)。

 これについて、イタリア第2海軍管区司令官で、「カブール」空母打撃群司令官も務めるヴィンチェンツォ・モンタナロ提督は、「我々の能力をひとつにまとめることで強靭化し、同盟の強さを発揮し、互いの相互運用性を高めるためにも、最も価値あるパートナーの国々と協力できることは本当に喜ばしい」「キャリア・ストライク・グループ(空母打撃群)を運用できる国は少なく、高いレベルでの統合運用を確認する絶好の機会になった」と述べています。

 アメリカ第6艦隊も、フランスやイタリアの海軍と日常的に協力し、地域の安全と安定に向けた協力的アプローチを促進しているとのこと。リリースによると、今回の訓練は相互運用性を含めたハイエンドな協力活動を強化するために役立ったとしており、戦略的同盟国間の海洋パートナーシップの結束力を強めることができたといいます。

ノルウェーやスペイン、ギリシャ艦も そしてロシアまで
 なお現在、アメリカ海軍の「ハリー・S・トルーマン」空母打撃群には、ノルウェー海軍フリゲート「フリチョフ・ナンセン」が、協力的配備計画の一環として、同空母群の指揮下に入り活動しています。

 一方、フランス海軍の空母「シャルル・ド・ゴール」を中心とした「タスクフォース473」には、スペイン海軍イージス駆逐艦「アルミランテ・ファン・デ・ボルボン」や、ギリシャ海軍フリゲート「アドリアス」を始めとして、ベルギーやドイツといったNATO加盟国のほか、モロッコ軍艦も指揮下に入り行動中のため、今回の艦隊演習には米仏伊の3か国以外にもこれら各国艦船が集結したことになります。

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共同訓練を行う、NATO加盟国の軍艦。手前からフランス海軍フリゲート「ノルマンディ」、ギリシャ海軍フリゲート「アドリアス」右奥がスペイン海軍イージス駆逐艦「アルミランテ・ファン・デ・ボルボン」、そして左最奥がノルウェー海軍フリゲート「フリチョフ・ナンセン」(画像:フランス海軍)。

 加えて、同じく2月7日には、ロシア北方艦隊の軍艦3隻も地中海へ入ったそうです。ロシア海軍によると、ジブラルタル海峡を通過して地中海へ入ったのは、スラヴァ級ミサイル巡洋艦「マーシャル・ウスチーノフ」、フリゲート「アドミラル・カサトノフ」、ウダロイ級大型駆逐艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコフ」とのこと。

 ロシア海軍は、この北方艦隊3隻のほかに、ウラジオストクのロシア太平洋艦隊からスラヴァ級ミサイル巡洋艦「ヴァリヤーグ」、ウダロイ級大型駆逐艦「アドミラル・トリブツ」、ボリス・チリキン級補給艦「ボリス・ブトマ」の3隻を分派しており、今後は地中海エリアで、黒海艦隊を含めた艦隊間演習などを実施する予定としています。
【了】

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