2月8日にはスウェーデン生まれの戦闘機「ビゲン」が初飛行した日です。スウェーデンの国情に合わせて開発された特徴の多い戦闘機でしたが、ゆえに独自性が強く、母国以外には採用されませんでした。

コダワリまくりの一端が外観形状にも

 1967(昭和42)年の2月8日。スウェーデンの航空機メーカー、サーブが開発した戦闘機「ビゲン」が初飛行しました。同機は戦闘機仕様以外にも、対地攻撃型や写真偵察型、海洋捜索型などがあり、いわば多用途戦闘機ともいえるものです。

 機体はデルタ翼の前に比較的大きなカナード翼(小翼)を組み合わせた形状で、加えて敵の攻撃を避けるために設けられた山中のシェルターにも入るよう全高を抑えるために垂直尾翼が折り畳めるようになっているのも特徴でした。

 また、短距離でも着陸できるようエンジン排気口付近には「スラストリバーサー」と呼ばれる逆噴射装置が設置されています。これにより、着陸滑走距離は500mほどで済むようになっています。ほかにも、路面状況の良くない道路での運用などを鑑みて、降着装置のタイヤが、前部は並列2輪、後部は左右それぞれ直列2輪構造になっているのも、他国の同クラス戦闘機と比較して際立っているポイントです。

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サーブ「ビゲン」の複座練習機型(画像:スウェーデン空軍博物館)。

 ただ、このようにスウェーデン空軍の運用体系に沿った独自色の強い機体構造だったため、自国以外で採用した国は現れず、生産機数は各タイプ合計331機で終了しています。

 日本も航空自衛隊の次期戦闘機候補として検討機種に挙げたこともあったものの、結局、航続距離や滞空時間が短いなどの理由から採用していません。

 本国スウェーデン空軍のみで運用された「ビゲン」は、2007(平成19)年6月26日に最後の機体が退役しています。
【了】

※一部修正しました(2月8日11時25分)。

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