手先の器用な日本人は、洋式銃の製造を試みて成功したのだが、大量生産には至らなかった。もしかしたらそれよりも簡単で安価に大量に銃をそろえる方法が生み出されたのも少しは影響していたのかもしれない。実は、国内にあった火縄銃を改良して洋式銃のようにしたものが造られるようになったのだ。火縄銃は火縄を用いて点火し発砲する。火縄は雨が降ると火が消えてしまうなど扱いが難しい。これを撃鉄(げきてつ)を落とした摩擦熱で点火する方法に変えた。こうした改良銃を「菅打ち火縄銃」(かんうちひなわじゅう)という。火縄銃は銃口から弾を入れるが、これを尾栓から詰める方法に改良した火縄銃もあった。

 もっとも、軍備を増強するにあたり火縄銃をその持ち主ごと徴発することもあったというから、戊辰戦争で一体どれくらいの火縄銃が使用されたか記録はないが、立派に役目を果たしていたようだ。

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後装式に改造された火縄銃の装弾箇所。前装式の銃に比べ装填の手間がはぶけ、兵士たちの射撃ペースをあげる効果があった。


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