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池田大作名誉会長

 朝日、読売、毎日、産経の4紙は1月26日の朝刊で、「創価学会の池田大作会長(94)が平和提言を発表する」という記事を掲載した。

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 各紙とも扱いは小さい。朝日新聞の記事を全文引用しても、以下のような具合だ。

《創価学会の池田大作名誉会長は26日に「平和提言」を発表する。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、感染症対策を含めた国際協力を強化するルールを早期に制定することなどを呼びかけている》

 見出しは「創価学会・池田大作氏、提言へ」。第3社会面に掲載された。

 一般読者には、あまり興味のない話題だろう。だが、毎年恒例の記事と言っていい。学会ウォッチャーにとっては、一種の風物詩のようなものだ。

 もっとも、大手新聞社の幹部からは「かなり違和感がある」という声はあがっている。担当記者が言う。

「創価学会は、それなりに影響力を持つ宗教団体です。とはいえ、ローマ法王ならいざ知らず、池田名誉会長の提言を全国紙が一斉に掲載するというのは、そもそもどうかと思います。加えて、名誉会長の健康状態が疑問視されているにもかかわらず、朝日新聞などは『池田大作名誉会長は』と、彼を主語にして記事を書いています。これはおかしいと言わざるを得ません」

新聞社の“弱み”
 デイリー新潮は21年3月22日、「池田大作名誉会長は本当に生きている? 学会幹部は『もう会っても意味がない状態と解釈』」との記事を掲載した。

 その中に、《池田氏が最後に公の場に現れたのは、米大学からの博士号授与式典に出席した2010年の11月。毎月学会幹部を集めて行われる「本部幹部会」への出席も、その年5月以来パタッと止んだままだ》という記述がある。

「もし本当に池田名誉会長が主体的に平和提言を発表したのなら、そっちのほうが大ニュースです。要するに各新聞社は、創価学会や公明党と様々な関係があり、全てを飲み込んで記事を掲載しているわけです」(同・記者)

 新聞社にとって重要なのが広告だ。創価学会は書籍の広告などを新聞に出稿している。

 また編集部門にとっても、学会や公明党は大切な取材先だ。新聞を購読してくれる信者も少なくない。一部の新聞社は、聖教新聞など創価学会の発行物の印刷も引き受けている。

「記事が短かったのは朝日と読売で、それぞれ90字と86字でした。他は産経が172字、毎日が228字、東京は270字という具合です。全国紙4紙のうち、朝日、毎日、産経の3紙は主語が『池田会長』でしたが、読売は『公明党の支持母体である創価学会は』でした」(同・記者)

大阪事件
 1月24日の聖教新聞は「あす『大阪事件』無罪判決60年 師弟の魂輝く人権闘争の源流」という社説を掲載した。

《1957年、事実無根の公職選挙法違反容疑で不当逮捕・起訴された池田先生。4年半に及ぶ法廷闘争の末、62年1月25日、正義は厳然と証明された。本年で60年。横暴極まる権力の弾圧に屈せず戦い抜いた、この「民衆勝利の日」の意義を改めて考えたい》

 要するに創価学会陣営が有権者を買収したとして、池田氏などが逮捕されたという事件なのだ。

 池田氏が無罪となったのは社説の通りだが、有罪となった学会員もいたことは附記しておこう。学会関係者が言う。

「学会にとっては自分たちの正当性を勝ち取ったという重要な日なのですが、聖教新聞でも扱いはそれほど大きくありません。池田名誉会長のコメントもありませんでした。そんな状況ですから、学会にとっては非常に重要な記念日である“1・25”を大きく取り上げることができないのです。にもかかわらず、提言だけは名誉会長を主語に新聞各紙が記事を報じています。これでは新聞社の見識が問われても仕方ありません」

デイリー新潮編集部

https://www.dailyshincho.jp/article/2022/02100600/