【ミュンヘン=池田慶太】先進7か国(G7)は19日、緊迫するウクライナ情勢を巡ってドイツ南部ミュンヘンで開かれた緊急外相会合の共同声明を発表した。声明は、ウクライナ付近におけるロシア軍の威嚇的な軍備増強に「重大な懸念」を表明し、早期の部隊撤収をロシアに要求した。

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ミュンヘンで開かれたG7緊急外相会合(AP)

 声明では、10万人以上とされる露軍の集結を、「欧州大陸における冷戦終結以来最大の配備であり、世界の安全保障や国際秩序への挑戦」と厳しく批判した。ロシアが自ら軍隊の撤収を発表したことに関しては、「我々はそのような低減を何も目にしていない」と指摘。「我々はロシアの行動によってロシアを評価する」と約束を守るように促した。

 また、G7として「平和的・外交的な解決」を目指すとし、ロシアに対し、米国や北大西洋条約機構(NATO)による対話の提案を受け入れるよう求めた。

 一方、ウクライナへの軍事侵攻は、「ロシア経済に厳しく前例のないコストを課すことになり、甚大な結果を招く」と警告した。

 声明は、ウクライナ東部紛争の解決に向けた2015年の「ミンスク合意」について、「紛争の永続的な政治的解決への唯一の道だ」と指摘。独仏露ウクライナの4か国協議への継続的な支持を強調したほか、ウクライナの主権・領土の一体性への揺るぎない支持も改めて表明した。

 ウクライナ東部では、ロシアが侵攻の口実を得るため、政府軍による親露派武装集団への攻撃をでっち上げる「偽装作戦」を計画していると米国は主張している。これを踏まえ、声明には「偽装事案が軍事的エスカレーションの口実として利用され得ることを懸念する」と明記された。

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