https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/c_scale,dpr_2,f_auto,t_article_image,w_350/wpmedia/2022/03/WF0401_P026-1.jpg

写真にズラリと並ぶ強面(こわもて)は、プーチン大統領の最側近。ウクライナ侵攻を主導した政権中枢の幹部である。ジャーナリストの常岡浩介氏が語る。

「『プーチンは錯乱状態にあるのではないか』という報道がありましたが、私はそうは思わない。プーチンを補佐する重要閣僚たちがイエスマンばかりで誰も彼を止められなくなっているだけです。加えて、プーチンはマスコミを押さえつけているので、政府に都合のいい情報しか入ってこない。プーチンは自身のプロパガンダによって、自己洗脳されていると考えたほうが正しいでしょう」

プーチン大統領を暴走させた面々を一人ずつ見ていこう。

長年の腹心として私生活でもプーチン大統領と深い交流があるとされているのがセルゲイ・ショイグ国防相だ。

「ショイグはコロナ対策でプーチンに誰も近づけなかったなか、唯一密室で会うのが許された最重要人物。’14年のクリミア併合の立て役者で、軍人ではないのに、ロシア軍の総指揮を務めています。’20年には反体制派指導者のアレクセイ・ナワリヌイ氏(45)への毒殺未遂事件に関与していました」(全国紙国際部デスク)

ワレリー・ゲラシモフ参謀総長(66)は今回のウクライナ侵攻の作戦を立てたとされる。彼は’99年のチェチェン紛争で軍を指揮し、市民を大量虐殺したと非難を浴びた人物でもある。しかし、ゲラシモフは今回、ロシア軍が侵攻に苦戦した責任をとって更迭の恐れがあるという。

そんな中、ロシア軍内で影響力を強めているのが、ヴィクトル・ゾロトフ国家親衛隊隊長(68)だ。もとはプーチン大統領のボディガードだったが、いまや40万以上の親衛隊員を率いる幹部となった。

プーチン大統領直属の部隊で、国内の治安維持や対テロ作戦を担うとされているが、任務のほとんどが反体制派の弾圧だ。ワレンチナ・マトヴィエンコ連邦院上院議長(72)は最側近の紅一点。’14年のクリミア併合、今回のウクライナ侵攻に際して、国会議決をスムーズに遂行し、プーチン大統領の野望を支えた。

プーチン大統領が全幅の信頼を寄せるのが、ニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記(70)、アレクサンドル・ボルトニコフ連邦保安局長官(70)、セルゲイ・ナルイシキン対外諜報庁長官(67)の3人。旧ソ連の秘密警察『KGB』時代の同僚で、「レニングラードの亡霊」と呼ばれている。前出の常岡氏が話す。

「彼らは言わば、政権の闇の部分≠担う人物。なかでも一番危険なのはパトルシェフです。’99年に起きたチェチェン侵攻の口実とされたモスクワアパート連続爆破事件を偽装工作した男です。チェチェン侵攻によって支持率が上がったプーチン首相(当時)は、’00年に大統領に当選するのですが、パトルシェフはそのために何の罪もない300人以上の自国民を殺害したのです」

プーチン大統領が核ミサイルの発射ボタンを押すときも、彼らはイエスマンであり続けるのだろうか……。

『FRIDAY』2022年4月1・8日号より

https://friday.kodansha.co.jp/article/234673