104年ぶりに「群来」現る!ニシン豊漁に地元のマチ、漁師、商工会が沸く 北海道江差町

 ニシンが群れで産卵する時期に見られる「群来」。  実は北海道南部では100年ぶりにこの光景が見られ、その復活にかつてニシンで栄えた江差町が湧いています。

 海を乳白色に染める現象、「群来」。

 ニシンが群れで産卵する時に現れます。

 毎年この時期に見られることから「春を告げる魚」とも呼ばれるニシン。

 一時期激減していましたが、道南の乙部町で今年およそ100年ぶりに群来が復活しました。

 函館市の市場では取扱量が去年の2.5倍になり、地元産のニシンが並ぶようになりました。

 前鮮魚店・前直幸さん「今年は非常に多かった。せり場見に行っても恐ろしい量があったから。魚市場の半分くらいがニシンで埋まっているくらい」

 江戸時代に北前船の終着地だった江差。

 ニシン漁や交易で大きく栄え、「江差の5月は江戸にもない」と謳われました。

 しかし、町の繁栄を支えたニシンは1913年を最後に獲れなくなり、その後、人口は半分以下にまで落ち込みました。

 その江差に2017年、104年ぶりに群来が確認されたのです。

 江差町民「昔からニシンが獲れる町だったので、戻ってきてくれるだけでうれしい」

 「いまはにぎやかでない街なので、江戸時代のように、その活気が少しでも戻ればいいな」

 104年ぶりのニシン復活に漁師も期待を寄せます。

 祖父の代から漁師を受け継いでいる青坂貴章さん。

 15年ほど前に初めてニシンが網にかかりました。

 「父さん亡くなったんだけど、ニシン見た時は喜んでいたよ。漁で見えだしてからニコニコして。ニシンが来たって」

 10年前に期待も込めてニシン漁に適した刺し網漁を始めました。

 「昔はニシンで栄えたから、これからまた獲れて栄えないかなと思って」

 ニシンの復活について、専門家は自然による要因と社会的な要因を指摘します。

 (自然による要因)

 日本海側で獲れていたニシンは乱獲などにより減少し、姿を消しました。

 しかし1999年に留萌で群来を確認。

 2010年ごろには小樽、2017年には江差町でも復活しました。

 桜井泰憲・北海道大学名誉教授「もともと北海道にいるローカルな石狩系ニシンとかがいますが、サハリンの方にも大きな群れがいます。それがじわりじわりと日本海とか北海道全域に混ざってきて広がってきている」