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 露スキージャンパーの“責任逃れ発言”が新たな騒ぎを起こしている。

 事の発端は、ロシア軍がウクライナ侵攻を開始した直後の2月26日にフィンランドで開催されたW杯ジャンプ男子団体戦だ。この大会ではロシア選手の参加は認められていたものの、国旗や国歌を使用しない決まりがあった。ところが同国代表のエフゲニー・クリモフは飛び終えた直後に、手袋に書かれていたロシア国旗をカメラの前で披露したのだ。

 このジェスチャーは各国メディアが露ジャンパーの行動を否定した。一方でクリモフ自身は沈黙を守った。そしてついに露スポーツ放送局『Match TV』で、口を開いた28歳は「挑発行為ではなかった。そんな禁止事項はなく、いつも通りやっただけ。ルールで許されているのに、なぜ違う行動をしなければならなかったのか?」と怒りを露わにした。

 そしてクリモフは、「ポーランドメディアがSNSで情報を拡散した。国のシンボルを使ったパフォーマンス自体禁止ではなかった。いつも通りの装備で臨んでいた。挑発行為がなかったことは皆が理解しているよ。どこからともなくバカみたいに話が膨らんだだけだ」と責任転嫁した。
 だがクリモフの愛国心を示す行動は、これだけに留まらなかった。先月18日には、胸元に「Z」の文字があるジャケットを着用し、クリミア半島併合を祝うコンサート行事にも出席。この「Z」の文字は、ウクライナに侵攻したロシア軍の戦車や車両に描かれているもので、プーチン大統領を支持するシンボルにあたるのだ。

 ポーランドメディア『sport.pl』は、これらの事柄を踏まえたうえで、「Zの文字を見たとき悲しくなりました。私にとってエフゲニー・クリモフは選手ではないし、握手すらしたくない」と同国ヴィスワの大会ディレクターが憤慨していると伝えた。

 いまだに終わりが見えないウクライナ侵攻。現地報道でも連日、生々しい戦争の傷跡が報じられているが、スポーツの舞台でも様々な形で遺恨を残しつつあるのは悲しい限りだ。

構成●THE DIGEST編集部

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