ファンから「アニメ化はない」と思われていた理由とは?

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TVアニメ『パタリロ!』24話までを収録した、「パタリロ!DVD-BOX 1」(ハピネット・ピクチャーズ)

 本日4月8日は、40年前の1982年に『パタリロ!』がTVアニメとして放送された日です。当時、人気マンガとして有名な作品でしたが、アニメ化は期待されながらも「できない」と、ファンにも危惧されていた問題が作品にありました。

 本作はギャグマンガとして、少女マンガ雑誌「花とゆめ」(白泉社)で1978年から連載を開始しています。しかし、その内容はギャグにとどまらず、スパイアクションやオカルト、推理ものミステリーなど、さまざまなジャンルを「笑い」という形でまとめた秀逸な作品でした。

 この作品のアニメ化が不可能と言われていた最大の要因は、レギュラーキャラであるバンコランとマライヒが男同士のカップルだったことです。さらに、その熱愛シーンもふんだんに描かれており、当時の比較的ゆるい倫理規定でもアニメ化は実現不可能だと誰もが思っていました。

 ところが、その問題作がTVアニメ化され、しかも家族が視聴するゴールデンタイムの木曜19時に放送が決まります。当時のファンのほとんどが、TV化にあたって大幅な改変をされるだろうと考えていました。もちろん筆者もです。

 しかし、スタッフはこのむずかしい問題から目をそむけず、ほとんど原作マンガにそった作品としてアニメを制作しました。当時の流れ的にはアニメ化でマイルドにするといった手法も少なからずありましたが、あえて原作マンガの持つテイストをそのままアニメ化するといった方向に、ファンは喜びます。

 もっとも、スタッフにも試行錯誤はありました。実はマライヒ役は男性声優で最初は決まりかかったそうです。ところが、原作者である魔夜峰央先生によると、これが不評だったので一休さんなどの男の子の声でも定評のある藤田淑子さんを起用したと語っていました。藤田さんも当初は少年のような声を試したところ納得できず、少女の声に落ち着いたと語っています。

 この他にも、バンコランと恋に落ちる美少年役が本作には多く登場していますが、「女性に間違えられるような美少年役の声優は女性にする」というスタッフの考えで、すべて女性声優が演じていました。余談ですが、初登場時のヒューイットもムーミンママなどで知られた谷育子さんが演じていましたが、ロリコンネタがひどくなるころには男性声優に代わっています。

 こうした人気マンガをそのままTVアニメにするといった方向性が、シュールなイメージな本作の雰囲気をそのままお茶の間に届けることになりました。その結果、本作はアニメからも多くのファンを生み出すことになります。

誰もが踊ったクックロビン音頭

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1983年に公開された劇場版『パタリロ! スターダスト計画』DVD(東映ビデオ)

 本作でもっとも印象に残るのは、やはり「クックロビン音頭」ではないでしょうか?