【北京=大木聖馬】中国軍の最新鋭ステルス戦闘機「殲(J)20」が、東シナ海や南シナ海での飛行訓練を常態化させていることがわかった。J20の開発・製造に携わる国有企業「中国航空工業集団」の幹部が記者会見で明らかにした。

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中国空軍のステルス戦闘機「J20」

 東シナ海では最近、米軍の最新鋭ステルス戦闘機「F35」とJ20が遭遇する事案も起きた。中国軍はJ20の運用を増やし、台湾有事の際に、米軍の接近を阻止する能力の向上を図る狙いとみられる。

 この幹部は12日の記者会見で、J20による東シナ海、南シナ海での訓練が「常態化した」と語った。東シナ海では「戦闘準備のための巡航」を行っているとした。

 J20は、世界屈指の性能とされる米軍の「F22」戦闘機を意識して開発された中国初のステルス戦闘機だ。中国メディアによると、台湾や東シナ海を担当する「東部戦区」で2019年に配備が始まった。記者会見した幹部は南シナ海での運用にも言及しており、南シナ海を担当する「南部戦区」にも配備された模様だ。

 米軍もJ20の活動を把握している。米太平洋空軍のケネス・ウィルズバック司令官は3月の講演で、F35が最近、東シナ海でJ20に遭遇したと明らかにし、「かなり上手に飛ばしている」との見方を示した。運用目的については、「語るのは時機尚早」とした上で、航空優勢の確保のようだとの見方を示した。

 中国軍の内情に詳しい関係筋は、「レーダーで捕捉しにくいステルス機の運用は、米軍が接近する際の障害となる」と分析している。

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