多用途迷彩は人口密集地を担任する部隊ゆえ
 兵庫県伊丹市にある千僧駐屯地において2022年5月15日(日)、陸上自衛隊第3師団の創立記念行事が行われました

 今回の記念行事は、新型コロナの感染拡大予防ガイドラインなどに従ったうえで入場制限を設けることのない一般公開イベントとして行われましたが、このような形で実施したのは3年ぶりとのこと。多くの来場者でにぎわうなか、人々の注目を集めていたのが、特別塗装が施された第3戦車大隊の74式戦車でした。

 第3戦車大隊は第3師団の隷下部隊で、今回の特別塗装は師団としては初の試みであり、カラーリングは師団が警備する地域の特性を表しているそうです。

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特別塗装が施された第3戦車大隊の74式戦車(2022年5月15日、武若雅哉撮影)。

 装備品展示で並べられたのは「通常迷彩」「冬季迷彩」「多用途迷彩」の3パターンで、塗装は第3戦車大隊の隊員のみならず、整備や輸送などで支援にあたる第3後方支援連隊の隊員の協力も得て行ったといいます。

 注目すべきは冬季迷彩と多用途迷彩。冬季迷彩は第3師団が担任エリアの北側、すなわち兵庫県北部や京都市北部など日本海にほど近い積雪地に適応する迷彩パターンで、これは恒久的な塗装ではなく、冬季シーズン限定の塗装パターンとなります。

 一方、多用途迷彩は、地形の「茶」、建物や道路の「黒」と「グレー」、積雪地の「白」を配色した、いわばオールシーズン迷彩として作られたもので、こちらも恒久的な迷彩パターンではなく、一時的な塗装ということです。

 ちなみに、第3師団は今年度末、すなわち2023年3月に改編される予定です。具体的には第3戦車大隊が廃止され、第3偵察隊が偵察戦闘大隊に拡充改編されるなどです。それに合わせて74式戦車も姿を消し、新たに16式機動戦闘車が配備されるため、第3戦車大隊の部隊マークを描いた74式戦車を見られるのも、残りわずかといえるでしょう。
【了】

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