沖縄の日本復帰50年を迎えた15日、宜野湾市では復帰記念式典が開かれ、那覇市では復帰の内実を問い、平和行進した参加者ら約千人(主催者発表)が県民大会を開いた。式典会場周辺や県民大会に訪れた人たちは、沖縄の現状を見つめ、基地問題の解決などを訴えた。(社会部・當銘悠、東江郁香、銘苅一哲、比嘉太一、平良孝陽)

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式典会場の前で岸田首相に「空を守って」と訴える「#コドソラ」のメンバー=15日、宜野湾市・沖縄コンベンションセンター前(銘苅一哲撮影)

 米軍の大型輸送ヘリの部品が落下した緑ヶ丘保育園(宜野湾市野嵩)の保護者らでつくる「#コドソラ」のメンバーは、宜野湾市の式典会場前で岸田文雄首相に「岸田さ~ん子どものお空を守ってくださ~い」と手作りのボードを掲げた。

 8歳の娘と訪れた「復帰っ子」の与那城千恵美さん(49)は「復帰して50年経過しても子どもたちが危険にさらされている」と訴える。近くで首相の式典出席に抗議する市民がいる一方「岸田さんが沖縄に来て現状を知り、声を聞くことで基地問題の解決につながればいいと思います」と会場の方向を見つめた。

 名護市辺野古の新基地建設断念などを求め、9日から東京都内の首相官邸前などでハンガーストライキをしていた「辺野古」県民投票の会元代表の元山仁士郎さん(30)も、式典会場近くに場所を変えてストライキを実施。岸田首相に直接、自身の姿を見せたいと駆け付けた。

 オンライン上で、基地負担軽減を強調した岸田首相の式辞を聞いた上で、「辺野古新基地建設に多額な税金が使われようとしている。完成後も訓練は沖縄ですることになるので、多くの県民が望んでいる基地負担軽減にはならない」と指摘した。 

 50年前の復帰の日と同じ雨の中で始まった県民大会。基地のない沖縄や戦争のない世界を目指す宣言文が読み上げられると、参加者らは大きな拍手で賛同した。

 参加した大城秋桜さん(23)=西原町=は沖縄市内で小学校教諭として働くが、授業中に学校の上をオスプレイが飛ぶことは日常だ。戦闘機の音を怖がって泣き出す子や走って逃げる子もいるといい「沖縄は本当に復帰したのか考えさせられる」と話す。子どもたちに平和教育をするため、まずは自分が沖縄の現状を知らなければと思い参加を決意した。「復帰の節目を現地で立ち会いたかった」と話すのは、一人で大阪府から来県した元小学校教諭の尾崎順子さん(72)。県民大会会場の廊下に設置されたモニターを見つめていた。

 52年前に離島教育を学ぶため、沖縄を訪れたころから沖縄が忘れられないという。「退職し、残された時間を沖縄の勉強に費やしたい」と力を込めた。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/958811