「まずは謝罪というのは、順番が違うと思ったんです。私は謝罪よりも何でこんな状況になったのか原因を知りたかった。もし持病など、やむにやまれぬ事情があったのなら、別に取り立てて問題にする話でもないですしね。しかし、事務所でA県議とB市議と応対したものによると、2人は原因については『なぜこうなったのかわからない』『自分たちではない』というばかりだったそうです。

 でも、そもそも『自分たちではない』のなら謝罪する必要もないでしょう。事実を曖昧にして、“臭いものにふたをしよう”という魂胆がありありだったのがとても残念でした。そこで私は『だったら、残りの6人にしっかり聞き取りをして、なんでこうなったのか真相を究明してください』とだけ、2人に伝言してもらうようにして、その日は会わず、お引き取り願うことにしました」(前出)

“空白の10分”の間に何者かが個室に侵入した可能性は?
 今回の「事件」については、店側も独自に調査をしたという。店長が説明する。

「バイトの子などに聞き取りをして、当時の状況を”調査“しました。もし本当に、“あれ”が彼らのせいではなかったとすると、“あれ”は議員さんたちが帰ってから、バイトの子が清掃に入るまでの“空白の10分”の間に何者かが個室に侵入し、おこなったことになります。しかし、当時フロアには彼らの他には常連のお客様が一組いるだけでした。そのお客様は過去にトラブルなどをおこしたことはなく、わざわざ別室に入ってそんなことをする“動機”も見当たらない。また、第一発見者の女性バイトの子についても、部屋に入ってすぐに無線で報告していることから、そんな時間があったとは思えないのです。

 さらに調査を進めると、当時上座に座っていた少し年配のC市議がお帰りの際に一人でトイレにいっていたことがわかりました。C市議や、その隣に座っていた方は本当にこの件に心当たりはないのか……。当時は、僕が見る限り議員の皆さんは相当酔われていて、ふらついていました。本当にあの時何が起きたか覚えていらっしゃるのかどうか」(店長)

先輩議員D氏に“尻ぬぐい”を頼んだ
 オーナーが続ける。

「私は単純になんでこうなったのか知りたいんです。しかし、彼らはその後もいっこうに原因究明をしようとはしませんでした。そのことで私が怒っているということが、人づてに耳にはいると、A氏とB氏は、議員を引退して隠居生活に入っている重鎮の先輩議員D氏に“尻ぬぐい”を頼んだようで、D氏から『AやBが謝罪に行きたいと言っているので、受け入れてやってくれないか』と私に電話が来たりもしました。でも、私が求めているのは謝罪ではないので……。私が何を求めているか、彼らには伝わらないんですよね」

肝心の証拠はすでに流してしまった
 真相を知りたいオーナーは、“事件”から5日後の5月13日に最寄りの警察署に被害届を提出した。しかし、警察による捜査は難航しているという。

「現場検証もしているのですが、肝心の証拠はすでに流してしまったし、犯人特定のための物的証拠がなかなか見つからないそうです。第一発見者のバイトの子や僕にも警察から聞き取りがありました。また”あれ“が見つかった時間に、同じフロアにいたもう一組のお客様にも聞き取りをするそうです」(店長)

“憤怒の相”を浮かべながら、オーナーと店長は記者に一気に事の顛末を語ったのだった。

 5月25日、取材班は店を予約した県議のA氏にも話を聞いた。

《名古屋高級焼肉店“人糞”放置事件》「飯も食べられない…」会食主催の県議を直撃“店への説明責任”は果たされたのか⁉ へ続く

(鈴木 ひろあき/Webオリジナル(特集班))

https://bunshun.jp/articles/-/54721