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TBS系『サンデーモーニング』のMCを務める関口宏。今年10月で放送35周年を迎える長寿番組だが、ここのところ関口の進行ミスや失言がたびたびニュースで取り上げられている(写真:共同)

所ジョージ67歳、金平茂紀68歳、草野仁78歳、黒柳徹子88歳、関口宏78歳、和田アキ子72歳、峰竜太70歳、明石家さんま66歳……いきなり名前を列挙させていただいたが、あなたはこの方々の共通項がなんだかお分かりになるだろうか?

実は全員、土曜日と日曜日にTBSの番組に出ている出演者だ。若年層のテレビ離れが言われ、テレビ番組の高齢化が言われている昨今でも、これはかなり特筆すべき状況だろう。ずらっと並んだ60代と70代……少し意地悪に言わせて貰えば「週末のTBSは老人大陸だ」と言えなくもない。

誤解なきように言うと、もちろん、出演者がご高齢だからといって、「悪い」というわけではない。高齢出演者がずらっと並ぶのは、ある意味「それだけ人気のある長寿番組が揃っている」ことの表れでもある。それだけ鉄壁の編成だ、と言うこともできる。

しかし、やはりあまりにも高齢者が「ずっと居座る」ことは、テレビが変革期を迎えている現在、決して誉められる状況ではないかもしれない。業界内部にいると、この状況についてのさまざまな声も聞こえてくるし、いろいろな弊害も見えてきてしまう。現に、しばしばこうした番組で高齢出演者による「問題発言」が、ネットなどをざわつかせ、炎上につながるケースも多い。

そこであえて今回、現役のテレビマンの端くれとして、「TBSの週末は“居座りたい老人大陸”だ」と言われないように、愛を込めた厳しめの目線で「何が問題なのか」を、いくつかの番組について批評させていただくことにした。

土日にベテランが集まるのにはワケがある
さて、個別の番組について見ていく前に、「なぜ土日の番組の出演者は高齢化しやすいか」をテレビマンとして解説しておくことにしよう。一般論としてテレビ局は「ベテランに引退していただく」のに実はとても気を遣う場合が多い。なぜなら「ベテラン出演者」は局にとっては「功労者」でもあるからだ。

とてもお世話になった人に対して、いきなり「仕事を切ります」とはなかなか言いにくい。となるとだいたい「徐々にフェードアウトしていただく」感じになるのが通常だ。

例えば「月~金の帯番組のMC」に降板していただく場合は、代わりに「週1回だが格式の高い番組のMC」あたりを用意することがよくある。また、「ゴールデン・プライムの番組」からベテランに退いていただく場合も、代わりに「ゴールデン・プライムではないがそれなりに良い時間の番組」を用意して徐々にフェードアウト方向に進めていくと、角が立ちにくい。

では、「週1回の格式ある番組」や「ゴールデンではないが良い時間」はどこにあるか?というと、一番最適なのが土日なのだ。平日と違い、昼間でも多くの人が見る「広告が高い」時間なので、土日の枠には特別感がある。だから、なんとなく各局土日にベテランが集まりがちなのだ。

少し話がそれた。では“老人大陸”ことTBSの土日の番組をみていこう。

良い番組なのに…勿体ない『報道特集』
まず、個人的に非常に「残念だなあ」と感じるのが『報道特集』(土曜17:30~18:50)だ。何が残念なのか?というとこの番組、とても「良い番組」だからである。前身となる番組『JNN報道特集』は1980年に始まり、徹底的な調査報道や独自目線での硬派なニュース解説など、実に「オンリーワン」の本格的ニュース番組だ。

一般的に言われている「日テレとフジが右寄りで、TBSとテレ朝が左寄り」という区分に沿っていえば、いわゆる「左寄りのニュース番組」の中では最もしっかりしていて見応えがある番組かもしれない。かつてはテレビ朝日も田原総一朗さんの『サンデープロジェクト』という競合番組をやっていたが、とっくに終了した今では、まさに唯一無二の存在だ。