与野党9党首は3日、NHKの討論番組にそろって出演し、10日投開票の参院選に向けて論戦を交わした。電力需給逼迫(ひっぱく)状況への対応などエネルギー政策に関し、自民党や日本維新の会、国民民主党は原発再稼働の必要性に言及。一方、立憲民主、共産両党は慎重または反対の姿勢を示した。

 岸田文雄首相(自民党総裁)は「安全を大前提とし、地元の意見を聴きながら再稼働を進める。最大限、原子力を活用する」と強調。当面は既存の火力、水力発電所の活用で対応する方針も重ねて示した。

 維新の松井一郎代表は「原発を稼働させ、エネルギー不足と電気料金の高騰に対応してほしい」と主張。国民の玉木雄一郎代表も「安全基準を満たした原発は動かす準備をすべきだ」と訴えた。

 一方、公明党の山口那津男代表は「省エネ、再生可能エネルギー、蓄電池などの活用を思い切って進めるべきだ」と述べるにとどめた。

 これに対し、立民の泉健太代表は「原発は短期的に電力が足りなくなったから(といって)すぐ動かせるものではない」と指摘。「規制基準や避難計画を飛ばしたりすることはできない」と語った。共産の志位和夫委員長は「福島を忘れたのか。事故などなかったかのように再稼働を言うのは無責任だ」と批判した。

 ロシア政府が日本企業も参加する石油・天然ガス開発事業「サハリン2」を事実上接収する手続きを取ったことについて、首相は「いきなりガス供給のストップにつながるものではない」と説明。ただ、今後の動向については「日本企業がどんな影響を受けるか、注視しなければならない」と語った。

 泉氏は「サハリン2はいずれこうなるのではないかと言われていた。国内の備えが不十分だ」と述べた。

 番組にはれいわ新選組の山本太郎代表、社民党の福島瑞穂党首、NHK党の立花孝志党首も出演した。

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