過去最多の8人が立候補した香川選挙区。2016年と19年は統一候補を立て自民候補に挑んだ野党が分裂し、与党を利する構図となった。

 元土庄町議会議員で立憲民主党の茂木邦夫氏(35)は3日、高松市内で「国民民主党に一票入れるということは、自民党に入れるのと変わらないと思いますよ」と訴えた。隣にいた小川淳也政調会長(51)は下を向いて苦笑いを浮かべた。

 一方、国民民主党の三谷祥子氏(55)は丸亀市内の演説会後、同党の玉木雄一郎代表(53)を「玉木さんは損得で勝ち馬に付こうという昔ながらの旦那政治からは抜け出ている。その点が立民とは違う」と評しながら、立民を批判した。両党の候補者とも敵は自民ではなくなったかのようだった。

 同じ香川を地盤とする小川氏と玉木氏は、ともに高松高から東大法学部に進学。小川氏が総務省、玉木氏は財務省のキャリア官僚で、国政に転じてからも、民主党→希望の党と同じ道を歩んだ。希望の党分裂後も野党共闘路線を取り、打倒自民を目指していたはずだったが、今年1月下旬に事態は急変した。国民県連は候補者擁立の方針を固めたが、立民に連絡はなかったという。

 国民の陣営関係者は、「代表の地元で公認候補を立てないという選択肢はなかった。分裂で自民を利することは分かっていたが、立民とうまく折り合いが付かなかった」と本音を漏らす。一方の立民陣営も「玉木さんがもう少し早く候補者擁立の相談をしてくれれば、小川はそれに応えようという気持ちはあったと思いますよ」と複雑な胸中を明かした。

 分裂した野党を尻目に、自民現職で官房副長官を務める磯崎仁彦氏(64)の演説会では、地元市議から「今回の改選で当選することは確実ですが、前回を大きく上回る結果を」と余裕の発言も飛び出した。

 1議席を争う香川で、互いのメンツをかけた「野党第1党」争い。小川氏は言う。「しょうもないことだろうが、大事なことだと思う」(瀬戸 花音)

◆香川選挙区(改選定数1)

池田 順一41N新

小林 直美48諸新

石田 真優40共新

三谷 祥子55国新

茂木 邦夫35立新

鹿島日出喜78諸新

町川 順子63維新

磯崎 仁彦〈2〉64自現

※敬称略、届け出順、丸数字は当選回数。年齢は10日の投開票日時点。

https://hochi.news/articles/20220706-OHT1T51195.html