岸田は7月14日の記者会見で元首相・安倍晋三の「国葬」を行うと表明し、9月27日に日本武道館で行う方向で調整に入った。改憲・戦争と新自由主義の反動政治を繰り広げ、数々の不正・腐敗と国家犯罪を居直ってきた安倍を、国家を挙げて礼賛し「神格化」しようというのだ。
自治体や学校に対する「弔意」の強制すら狙われている。絶対に許すわけにはいかない! すでに安倍国葬への抗議の声は至るところで噴出している。
7・8安倍銃撃事件は「戦争か革命か」の歴史選択をかけた激動情勢の到来を告げ知らせた。今こそ日本帝国主義を打倒する労働者階級の荒々しい実力闘争をつくりだそう。8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争を闘い、安倍国葬の実力粉砕へ総決起しよう!

噴出する「国葬反対」の声
 今、職場や街頭では多くの労働者民衆が「悪人は死んで当然」「よくやった」と、7・8安倍銃撃に自らの怒りを重ねて共感を表明している。
安倍を筆頭とする自民党内外の右翼政治家と統一教会との醜悪極まる蜜月関係も次々と明るみに出され、弾劾の声が広がっている。これに焦りを深めた岸田は、国家権力の発動をもって全人民に「安倍礼賛」を暴力的に強制するために国葬方針を打ち出したのだ。安倍を失った今、岸田が極右勢力を含む支配階級全体を自らの周囲に結集し改憲・戦争に突き進むためには、そうする以外にないからである。
 だが、これは労働者民衆の怒りの炎に油を注ぐことになった。記者会見の直後からツイッターでは「#安倍晋三の国葬に反対します」のハッシュタグを付けた投稿が翌日までに30万件を超えた。
「安倍は戦後最悪の首相だった」「人を死に追いやり、私利私欲によるうそ、改竄(かいざん)のオンパレードで説明責任も果たさなかった人間が国葬だと?」「子どもが飢えてる一方で、お金の無駄使いはやめてください」など、堰(せき)を切ったように怒りの声が投じられ、「国葬に対してはデモだ」の声も出始めている。
 安倍のような圧倒的多数の労働者人民に憎まれている腐りきった反動政治家を「国家の英雄」のように祭り上げる以外にないところに、日帝の最末期的危機が刻印されているのだ。怒りの声を総結集する実力闘争で安倍国葬を粉砕し、戦争を革命に転化する革命的内乱の突破口を開こう!

暴かれた権力中枢の腐敗
 7・8安倍銃撃を機に、統一教会問題という日帝支配階級の「暗部」が暴き出されたことは決定的だ。
宗教を装う反共組織=統一教会は、南北分断体制下のソウルで結成され、安倍の祖父・岸信介や日本財団の創立者・笹川良一らが中心となって日本に招き入れた。
岸が名誉実行委員長を務めた1974年の「希望の日晩餐(ばんさん)会」では福田赳夫蔵相(当時)が統一教会教祖・文鮮明を「アジアの偉大な指導者」などと礼賛した。この福田がつくった派閥・清和会が今日の安倍派の前身だ。
岸から安倍に至る清和会系の極右政治家どもは、統一教会やその政治団体である勝共連合から大量の運動員や議員秘書を提供され、それによって自民党内でも力を伸ばしてきたのである。
 他方で統一教会は、悪名高い「霊感商法」で多くの人民から巻き上げた金を活動資金として政治家を支える見返りに、様々な便宜を与えられてきた。
80~90年代にかけて「霊感商法」が社会問題化したにもかかわらず、統一教会の宗教法人格が文部科学省に承認されてきたのもその一例だ。