東京・歌舞伎町のキャバクラ店の前に、大勢の暴力団員をたむろさせて、店の営業を妨害した疑いで、幹部の男らが逮捕された。「暴力団お断り」に腹を立てて、店に”嫌がらせ”をしたとみられている。

「暴力団お断り」説得は1~2カ月続いた
指定暴力団住吉会幸平一家・堺組の幹部・瓜生拓也容疑者(42)らは、歌舞伎町のキャバクラ店に、客として訪れていたという。ところが、数回、通っているうちに、暴力団関係者であることが、店側にバレたとのこと。

この店は、暴力団排除を掲げる優良店だったのだ。店長は、キャストを通じて、「うちは暴力団排除の店なので来ないでくれ」と伝えたという。店側から、瓜生容疑者側への”説得”は、去年10月ごろから1~2カ月間に渡って続いたそうだ。

すると、12月6日になって、堺組の幹部から、店に電話が入った。その日のうちに、店長は、近くのカフェに呼び出されたという。「暴力団なのでダメです。もう来ないで下さい」。その場で店長は、キッパリと、そう申し入れた。すると、その日から”嫌がらせ”が始まったのだ。

店の前には大勢の暴力団員が
警視庁暴力団対策課の発表によると、瓜生容疑者らは、「暴力団としての威力を誇示しながら」、店の出入口付近にたむろするようになったという。そして、出入りする女性従業員や客らに対して、「にらみつける」などの威圧行為を繰り返したとのこと。

その筋の”風貌”をした男たちが、大挙して、店の前にたむろしたら、当然、その恐怖感から、客足が遠のく可能性もある。その日に、店側は「店の前にたくさん暴力団組員がいる」と通報。警視庁が、捜査に動くことになったのだが、実は、この”嫌がらせ”は、12月6日~29日まで続いたそうだ。

結局、暴力団捜査のプロである”暴対課”が事件化に着手。1カ月弱に渡って続いた”嫌がらせ”の中で、12月24日20時~22時と、翌25日20時~22時の威圧行為について、証拠を固めて、関与した瓜生容疑者ら9人を特定。おとといからきのうにかけて逮捕した。

害虫駆除剤やカラーボール”嫌がらせ”も
暴対課は、単なる営業妨害ではなく、堺組が組織として、”嫌がらせ”に及んだと認定し、組織犯罪処罰法の「組織的威力業務妨害容疑」を適用して、9人の逮捕に踏み切った。なお、事件化はされていないものの、この店は、何者かに、トイレで害虫駆除用の煙がたかれたり、カラーボールが投げ込まれる被害を受けているそうだ。

逮捕された9人は、調べに対して、いずれも黙秘・否認している。「店には行ったことはあるが業務を妨害していない」「(店の周辺で)タバコを吸ったり、人と待ち合わせをするなど、日常生活を送っていただけ」などと供述している組員もいるという。

このキャバクラ店の「暴排」姿勢は、高く評価されるべきだろう。警視庁には、今後、意趣返しなどがないよう、店側の保護などが求められる。

https://www.fnn.jp/articles/CX/394798