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泉健太氏

 参院選に敗れ、野党第1党の看板も名ばかりになった立憲民主党。にもかかわらず、いまだ執行部が責任を問われる気配は見られない。

「そもそも支援団体の連合と、友党の国民民主党が自民に接近したあたりから、立憲の苦戦は予想されていました。結果は改選前の23議席を下回る17議席に留まり、比例代表では日本維新の会の後塵を拝した。それでも泉健太代表(48)は、投開票日の会見で早々と辞任を否定したのです」

 と政治部記者は言う。

「本来なら党内から批判が出るところですが、立民は共産党との共闘が悪影響した衆院選の惨敗から日が浅い。“創業者”の枝野幸男前代表(58)の再登板といった先祖返りをするわけにいかず、さりとて泉氏に代わる代表候補も見当たらない。安倍晋三元総理の銃撃事件後、党内で“与党圧勝。これでうちは敗戦の言い訳ができた。泉は続投だ”との不謹慎な声が上がりましたが、実際は人材がいないだけ」

“オフレコ破り”に幹部は大激怒
 そんな中、異を唱えたのが小川淳也政調会長(51)。7月12日の党役員会で、自らを含む執行部の続投を敢然と批判したというのだ。

「ところが、その男気もすぐにミソをつけた。外部に漏らさない約束の討議なのに、会を終えた小川氏はすぐさまツイッターに〈役員改選、人事の断行、人心の一新、刷新を図るべきとの持論を提起〉したと投稿。他の幹部らは思わぬ身内の“オフレコ破り”に大激怒。口々に“どんな影響が出るか考えていない”“代表狙いのスタンドプレーだ”と吐き捨てていました」

 こんな時こそベテランの出番。だが、野党担当デスクによると、まず小沢一郎氏(80)については、

「安倍氏の死の直後に“自民党の長期政権が招いた事件”と発言して物議を醸したうえ、お膝元の岩手で子飼いの現職がよもやの落選。北海道や新潟でも側近候補が落選し、かつての剛腕は見る影もありません」

 ほかのセンセイも同様だ。

「元財務相の安住淳氏(60)は地元の宮城県で立民候補を当選させられず、元外相の玄葉光一郎氏(58)、党常任顧問の岡田克也氏(69)は、そもそも候補者の擁立すらできなかった。各氏の発言力低下は不可避です」

孤立感を深める泉代表
 もとより存在感も乏しく、いわゆるオワコン(=見捨てられた)状態だという。竣工からわずか2年の“立憲ハウス”はかくも内壁がボロボロで、外壁にも日々厳しい逆風が吹きつける。7月18日に毎日新聞が明らかにした世論調査では、あまりに衝撃的な数字が並んだ。

「とりわけ目を引いたのが、立憲と維新の〈どちらに期待しますか〉との問いへの回答でした。維新が46%と約半数を占め、〈どちらにも期待しない〉が28%、立憲と答えた人はそれより下のわずか20%。改めて期待感の低さが鮮明になった」

 40代とまだ若い泉氏が、火中の栗拾いを買って出るように代表に就いて8カ月。最近は「ウチの議員はそのことを忘れているよ……」と周囲にこぼし、孤立感を深めているという。

「すでに小川氏が政調会長辞任を表明していますが、泉氏は冗談か本気か“オレは政調会長でいいや”と。代表辞任の示唆か、単なる愚痴か……」(中堅議員)

 執行部は8月中旬をメドに参院選を総括し、改めて出直しを図る運び。だが、消去法で残っただけのトップが戦意を喪失していて、国民の支持など得られようか。

「週刊新潮」2022年8月4日号 掲載

https://www.dailyshincho.jp/article/2022/08081059/