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スペイン・バルセロナの消防隊は、古くから伝わるヤギやヒツジを利用した方法によって、増え続ける大規模な山火事に劇的な効果を挙げているという。『The Guardian』『Pehal News』などの海外メディアが報じた。

■山火事の延焼を防ぐ
今年の初め、バルセロナ近郊のコルセローラ自然公園に、290頭のヤギとヒツジたちが集められた。与えられた任務は、できるだけ多くの草を食べることだという。

もともと山火事が発生しやすい地域にひとたびヤギたちが解き放たれると、火事で燃え広がる可能性のある乾燥した植物を食い尽くすまで止まらない。そこでヤギたちが旺盛な食欲を満たした結果として、山火事の際には防火帯として機能する開けた空間だけが残るのだという。

■世界中で同様の取り組み
この昔ながらの取り組みは、近年になって再び世界中で採用されており、大規模な山火事から人々や自然環境を守っている。実際、昨年の山火事で85万ヘクタール以上を山火事で失ったカリフォルニア州では、現在12の企業がヤギの放牧を利用しているという。

また、ポルトガルでは、2017年に発生した森林火災の影響からファイアブラバ保護区を救ったのは、放牧された馬たちの食欲だったとも言われている。

■機械よりも低コスト
動物を使った山火事対策のメリットはそれだけではない。人や機械を使って草木を伐採するよりも、遥かに低コストで済むことも挙げられている。

スペインのアンダルシア地域では羊飼いを雇い、草に覆われた平原を巡回させた。その結果、対策にかかる費用が約75%も減少したというデータもあるようだ。

■今後出番は増えるかも…
放牧の試験運用が行われたバルセロナでは、動物たちをひと目見たいというブームが起こり、地域経済にもプラスの影響があったという。

近年世界中で異常気象による大規模な山火事が発生しているため、動物たちの消防団が活躍する機会は、今後もますます増えていくかもしれない。

(文/Sirabee 編集部・びやじま)

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