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ドイツ空軍の戦闘機ユーロファイター(手前)。8月中旬から初めてインド太平洋地域に派遣されている=独空軍提供

 【ベルリン=中西賢司】ドイツ空軍は28日、日本に初めて戦闘機を派遣する。航空自衛隊との共同飛行などを通じ、防衛協力の強化を図る狙いだ。空軍トップのインゴ・ゲアハルツ総監(56)が、読売新聞の電話インタビューに応じ、「民主主義などの価値観を共有するパートナーであることを示したい」と語った。

 訪日は、インド太平洋地域の安定に向けた貢献を掲げるドイツ政府の外交戦略「インド太平洋指針」の一環だ。昨年の海軍に続き、今年8月から空軍の戦力を初めて同地域に派遣し、豪州での多国間合同訓練に参加した。日本と同時期に韓国にも輸送機を派遣し、30日に経由地のシンガポールに戻る。ドイツには10月初旬に帰任する。

 総監は、天候が良ければ自ら主力戦闘機ユーロファイターを操縦し、シンガポールから日本に向かう予定だ。「航空自衛隊の出迎えを受け、編隊を組んで飛行する」という。自衛隊幹部との会談などを通じ、「どの分野で協力を緊密化できるかを探りたい」とし、「我々にとり最大の課題である人材確保をどう行っているかも知りたい」と述べた。

 また、アジアの訪問先である日本、韓国、シンガポールは、ドイツと同様、ウクライナを侵略するロシアに経済制裁を科しているとし、「各国は強い絆で結ばれており、欧州とインド太平洋はもはや切り離せない関係にある」と強調した。

 日本へはフィリピンから沖縄上空を飛び、台湾海峡は通らない。総監は「誰かを刺激するようなことはしない」と述べ、中国への配慮ものぞかせた。

 自身にとっても初来日で、東京では自衛隊幹部と皇居周辺をジョギングする計画だ。「大好物のスシを本場で味わいたい。日本の文化に触れ、感動を持ち帰りたい」と話した。

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