9月中旬、東京・池袋。中国の流行歌が流れる中華フードコートで、イラストレーター前迫瞳さん(34)は発酵食品「臭豆腐(チョウトウフー)」を楽しんでいた。強烈な臭いで、外国人が敬遠する代表的な中国の食品だが、「日本人に合わせてない本場の味。こういうのが好き」。

 「ガチ中華」。味も店の雰囲気も本場の中国料理は近年、そう呼ばれるようになった。日本の若者を中心に注目を集めている。

 前迫さんがハマったきっかけは、中国のアニメ「魔道祖師」だ。ファンタジー小説を原作に、2018年に中国の動画サイトで配信が始まった。古代中国を意識した美術や世界観で世界的な人気を博した。日本のテレビでも放映されている。

 それまで中国には全く関心がなかったが、数年前に友人の紹介で見始めると、同作や他のドラマなどに登場する料理や飲み物を味わってみたいと興味がわいた。いまや中国のSNSや動画サイトも使いこなす。

「歴史や政治を気にしないから」
日本と中国は29日、国交正常化から50年を迎える。政治関係は冷え込んだままだが、個々人の目に映るお互いの姿は、若年層を中心に変わり始めている。