鹿児島県の奄美大島に生息する絶滅危惧種「アマミノクロウサギ」。原因の一つでもある外来生物「マングース」について、43年の時を経て根絶宣言できる見通しが立った。そこには、島の精鋭部隊「マングースバスターズ」の存在があった。

■マングース根絶へ…「バスターズ」結成

 鹿児島県と沖縄本島の間に位置し、世界自然遺産に登録されている「奄美大島」。希少な動植物が生息していることから、「東洋のガラパゴス」とも呼ばれている。

 そんな奄美大島の生態系を長年脅かしてきた外来生物「マングース」の根絶が目前に迫っている。

 そもそも「マングース」がこの島に持ち込まれたのは、住民たちを危険から守るためだった。

 最悪の場合、死に至るほど強力な毒を持つ「ハブ」。毎年数十人が襲われるなど、住民たちを悩ませていた。

 そこで1979年、ハブの“天敵”として、およそ30匹のマングースが島に放たれた。

 しかし、ハブの個体数は一向に減らなかった。

 それもそのはず、ハブは夜行性なのに対し、マングースが行動するのは昼間。相まみえることがほとんどないからだ。

 マングースは島に放たれて以降、生息域を拡大。2000年ごろには、推定で最大1万匹にまで増えた。

 環境省沖縄奄美自然環境事務所の阿部愼太郎所長は、マングースの急増により島の生態系が変わっていったと話す。

 阿部所長:「マングースがいる所で、どんどん生き物がいなくなるのが実感として分かるんですよね」

 特に深刻だったのが、国の特別天然記念物に指定されている「アマミノクロウサギ」への被害だ。絶滅の危機に瀕してしまうほど減少してしまった。

 この状況を打開しようと、島の自然保護管理事務所が立ち上がった。

■3万個の罠設置…“4年間”姿確認されず

 阿部所長:「雨の日も、夏の暑い日も山に行って、罠の点検をするのがバスターズなんです」

 2005年、島の精鋭12人による「マングースバスターズ」が結成された。彼らの活躍により現在、根絶目前にまで迫っているマングース。どのようにして駆除したのか?

 彼らは、まず島中に罠を仕掛けた。その数、およそ3万個。さらに、探索犬を導入。探索犬は、においなどでマングースを探すことはもちろん、マングースのフンなどを探し、分布や生息域をあぶり出す役割も担った。

 こうした活動により、マングースの数は減少。2018年度に1匹捕獲されたのを最後に、4年間、島でマングースの姿は確認されていない。

 その代わりに姿を現すようになったのが「アマミノクロウサギ」などの希少な動物たちだ。

 阿部所長:「もう本当に本当に、なんか全然違いますよね。あの生き物たちが回復できるんだと、びっくりしてます」

 本来あるべき生態系に戻りつつあった奄美大島だが、今、マングースに変わる新たな脅威が希少動物たちを苦しめている。