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国宝大徳寺方丈の屋根裏で見つかった約400年前のノミ=京都市北区

 保存修理が続く国宝の大徳寺方丈(京都市北区)の屋根裏から、約400年前のノミが見つかった。京都府文化財保護課が18日、発表した。

 大徳寺は臨済宗大徳寺派の大本山で、方丈は住職の住居として建てられ、接待や行事の場としても利用された。現在の方丈は1635年に完成した建物で、2020年から6年かけて、解体修理工事が行われている。

 京都府によると、ノミが発見されたのは今年4月末。方丈の南東の角で、屋根を支える垂木と化粧裏板の間にめり込んだ状態で見つかった。この場所の解体は初めてで、建築当時のノミだと考えられるという。

 保存修理などによる古いノミの発見は、京都府で4例目。ノミは貴重なものではなく道具のため、古い時代のものが見つかる例は、全国的にも少ない。

 発見されたノミの全長は23センチ、刃幅は17ミリ。片刃が主流の現在では珍しい両刃の形式で、木材を荒く削ったり掘ったりするときに使うものだ。発見場所の近くにある刃痕に刃先を合わせると、幅がぴたりと合ったという。

 職人にとって高価で大切なノミを、なぜ、この場所に置き忘れたのかは分からない。保存修理作業を続ける京都府の現場責任者・竹下弘展さん(46)は「発見によって、当時の職人がこのノミを使っている様子がまざまざとイメージできた。解体によって、手仕事の痕跡と出会えるのが、この仕事の醍醐(だいご)味です」と話した。

 大徳寺方丈の保存修理現場は11月5日と6日に公開され、今回発見されたノミも展示される。見学は無料。(西田健作)

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