脳性まひで車いす生活をしている沖縄県名護市辺野古出身の上間正敏さん(60)=同市東江=が24日、新基地建設反対を訴える抗議船に初めて乗船した。新基地建設への抗議行動をやゆしたひろゆき氏の言動を発端にネット上でデマが拡散されていることに対し、「辺野古で起きていることを自分の目で見て、県外の人に伝えたい」と乗船を決意。「ゲート前の座り込みだけでなく、海上でも粘り強い抗議行動が続いている。沖縄のことをちゃんと見て、もっと知ってほしい」と呼びかけた。(北部報道部・西倉悟朗)

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抗議船「平和丸」の船上から、新基地建設現場を見る上間正敏さん(左)=24日午後1時47分、名護市辺野古沖

 上間さんは生まれた時から脳性まひで四肢に障がいがあり、車いすを使っている。この日は友人の小野寺晶さん(76)らに抱きかかえられて初めて乗船。波が高かったためカヌーでの抗議行動はなかったが、同乗した市民らから普段の抗議の様子や工事の状況について説明を受け、建設現場付近の海上を巡った。

 「辺野古の人は、昔はあの辺りで浜下りをしていたんだよ」と懐かしそうに話す上間さんの視線の先には、新基地建設工事の護岸が伸び、埋め立て用の土砂を運ぶ船が行き来する。「景色が全く変わってしまった。建設現場は想像していたよりもはるかに大きい」とため息をついた。

 宜野湾市の沖縄国際大を卒業後、普天間飛行場の近くに10年以上住んでいた。2004年には米軍ヘリが沖国大に墜落。基地撤去を切実に訴える宜野湾の人々や、政府が強行する新基地建設の是非を巡って対立を強いられる辺野古の人々を目の当たりにしてきた。

 「沖縄の人々が米軍基地に翻弄(ほんろう)され、基地を押し付ける当事者の政府がそれを眺める構図は、今回のひろゆき氏の言動にもつながっている」と指摘する。抗議船から見た現場の様子は、自身の会員制交流サイト(SNS)で発信していく方針だ。

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