北朝鮮による連日の弾道ミサイル発射が続いていますが、米韓の合同訓練の延長発表後、挑発はさらにエスカレートしています。専門家は「過去とは局面が異なる」として今後、核実験や民間人を巻き込んだ砲撃事件が発生しうると懸念しています。

 “挑発”は、やむ気配がありません。

 3日夜、3発の短距離弾道ミサイルを発射した北朝鮮。韓国軍によると、そのおよそ2時間後、日本海に向け80発以上の砲撃を実施しました。

 繰り返されてきた“挑発行為”。今回は明らかにフェーズが変わったと、長年北朝鮮を見てきた礒崎教授は話します。

 慶応義塾大学、北朝鮮政治・礒崎敦仁教授:「過去とは全く局面が異なります。金正日委員長の時代は17年間に16発しか撃っていないのに、わずか一日でその数を超えるミサイルが撃たれているという状況。尋常ではない」

 局面が変わった訳。その一つを北朝鮮・軍の最高幹部が明かしています。

 朝鮮労働党・朴正天(パク・チョンチョン)書記:「米国と南朝鮮の無責任な決定は、連合軍の挑発的軍事行為によってもたらされた現在の状況を、統制不能の局面に押し付けている。米国と南朝鮮は取り返しのつかない大きな過ちを犯したことに気付くだろう」

 “無責任な決定”。そう主張するのがこれです。

 アメリカ、オースティン国防長官:「合同訓練である『ビジラントストーム』を延長することにした」

 韓国・李国防相:「北朝鮮のいかなる核攻撃も容認できず、同盟の決定的な対応によって、金正恩体制を終わらせることを確認しました」

 5日までの延長が決まった米韓合同訓練。2人が巨大な爆撃機の前で話し合う様子が伝えられています。

 黒く覆われた、爆撃機とは思えないほどの大きな機体。

 優雅に空を舞う姿とは裏腹に、強力な爆撃能力を兼ね備えた「B1B戦略爆撃機」、別名「死の白鳥」。

 韓国メディアは、合同演習に投入されると伝えています。

 連合ニュース:「当局は『朝鮮半島へのB1Bの配備は北朝鮮の挑発に対する警戒・演習延長の“鍵”となるだろう』と話した」

 「金正恩総書記が最も恐れる兵器」。そう伝えるメディアもあります。

 東亜日報:「死の白鳥と呼ばれるB1B、そしてB2爆撃機は地下を攻撃する能力まで備えている。一部では金正恩総書記が最も恐れる戦闘機を配備する可能性が高まったと話している。金正恩総書記は以前からアメリカの戦略兵器が朝鮮半島に入ってくることを極度に警戒していた」

 この爆撃機、特筆すべきは速度です。

 軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏:「敵の上空に入る時は非常に低空に下りてきて、レーダーに見つからないように、最高速度はマッハ1.25。音速は超える」

 グアム基地で見掛けることが多いという爆撃機。

 通常のジェット機ならグアムから5時間近くかかる距離、わずか2時間で朝鮮半島上空に到達できます。