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チマ・チョゴリを着て踊る人たち=2022年11月26日、レイボックホール大宮、仙道洸撮影

 在日朝鮮人の母親として子どもを育てるとはどういうことなのか。朝鮮学校に子どもを通わせる母親たちが26日、その思いを舞踊に乗せ、レイボックホール大宮(さいたま市大宮区)で演じ、約1千人が見守った。

 舞踊のタイトルは「母(オモニ)の物語」。日本という異国の地で、朝鮮半島をルーツに持ちながら生きるオモニ(母)たちの喜怒哀楽を描く演目だ。使われる音楽は、主に戦後の在日社会で生まれた曲で、脚本も在日朝鮮人女性が手がけた。

 さいたま市大宮区にある埼玉朝鮮初中級学校が舞台。学校創立当時を知るハルモニ(おばあさん)とオモニがそれぞれの時代を回想し、今を生きる母と娘を表現した。

 自分の名前も字も知らなかった戦後の女性たちの姿、切り裂かれる恐れなどから制服として着用されなくなったチマ・チョゴリを着た踊りも披露した。

 演じた金(きん)善恵(そね)さん(50)は「わたしたちはチマ・チョゴリにプライドを持っています。自尊心や誇りを表現しました」と演目の思いを語る。

 男女が登場する踊りでは、普遍的な恋愛物語も表現した。「おかずをたくさん作って持ってきてくれる、少しありがた迷惑な義母」など、日本の家庭にも登場するようなコミカルなシーンも加えた。

 「わたしたちは『今日うちの子が暴力を振るわれるかもしれない』という不安を抱えながらも、毎朝笑顔で送り出しています。自分たちは何人であるのかを考えながら異国の地で生きてきた思いを、子どもたちや、日本の人たちにも分かってもらえたら」(仙道洸)

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