中国で、まさかの「デフレ進行」…!
世界でインフレが深刻な問題になっている中、中国で生産財の価格が下落している。

11月9日に発表された10月の卸売物価指数(PPI)は前年同月に比べて1.3%下落し、2020年12月以来1年10ヶ月ぶりのマイナスになった。

長年デフレに苦しんできた日本でさえ、世界的な資源インフレなどの影響で10月の企業物価指数(PPIに相当)は9.1%上昇している状況を鑑みれば、中国のPPIの下落は注目に値する。

PPIのうち、産業構造の川上や川中にあたる生産財は2.5%の下落となった。鉄鋼が21%、非鉄金属は8%低下し、9月からの下落幅が拡大した。9月まで上昇していた肥料など化学原料やゴム・プラスチック製品も下落に転じた。

生産財の部門でデフレリスクが台頭しているのは、不動産市場の不調が長引いているからだ。

主要70都市の10月の新築住宅価格は前月比0.37%下落し、1年2か月連続の値下がりとなった。下落率も7年ぶりの大きさだった。

中国の住宅ローン金利は前年に比べ1.3%低下し過去最低の水準(4.3%)となっているが、不動産市場が好転する兆しは見えてこない。

不動産市場の不調で設備投資全般が不振となり、生産財の部門は青息吐息だ。

中国の10月の粗鋼生産量は前月比8.3%減の7986万トンとなった。11月も鋼材市況は軟化したままだ。中国の10月のICチップ生産量は前年比で27%減少し、過去最大の下落幅となった。

中国不動産市場の不調がデフレ圧力を強めている Photo/gettyimage
中国の「不動産バブル」が崩壊
不動産市場の不調は資産デフレという悪弊も引き起こしている。

中国の住宅時価総額(約1京2000兆円)は、今年8月から下落に転じており、「不動産市場の不調が深刻なデフレを引き起こす」との懸念が強まっている。

中国の10月の消費者物価指数(CPI)は2.1%上がったが、主因は食肉消費の6割を占める豚肉の価格高騰だ。

家計は節約志向を強めており、CPIがマイナスに転じるのは時間の問題だろう。

https://gendai.media/articles/-/102475