立憲民主党は20日、日本への軍事的侵攻を抑止するためのミサイルの長射程化など能力の向上は必要とする一方、自公合意に基づき政府が決定した反撃能力(敵基地攻撃能力)については「賛同できない」とする見解をまとめた。見解は「外交・安全保障戦略の方向性」として同日公表した。

 見解では、他国領域へのミサイル打撃力の保有について「政策的な必要性と合理性を満たし、憲法に基づく専守防衛と適合するものでなくてはならない」と指摘し、政府により詳細な説明と国会審議を求めた。「日米同盟はわが国の安全保障の基軸」と強調し、韓国は「重要な隣国。東アジアの将来秩序は日韓の協力なしにあり得ない」と盛り込んだ。中国については「最大の外交課題」とし「不測の衝突を回避するためのホットラインを機能させなければならない」とした。

 党内の議論を主導した「ネクスト外務・安全保障相」の玄葉光一郎元外相は記者団に対し、自身の持論は「他国領域への打撃力は保有すべきだ」と認めたうえで、反撃能力について「主要野党が賛成して国会審議が有意義なものになるのか懸念を持った」と述べた。

 立憲の見解について、国民民主党の玉木雄一郎代表は20日の記者会見で「米国は(安全保障関連3文書の改定を)非常に歓迎している。否定するのであれば、政権担当能力に米国から疑問を投げかけられる可能性は否定できない」と批判した。【安部志帆子】

https://mainichi.jp/articles/20221220/k00/00m/010/185000c