0001きつねうどん ★
2022/12/31(土) 07:24:02.81ID:xqC41qmi長期戦の様相を呈するようになったロシアによるウクライナ侵攻。戦いが始まったのは、雪解けの泥の海、いわゆる「ラスプーチツァ」の時期とも重なる2022年2月後半のことでした。
ロシア軍は、旧ソ連軍以来の伝統たる機甲部隊の大量投入でウクライナ軍の防御態勢を一気に押し潰そうとしましたが、主戦兵器の戦車などが予想外の大損害を受けて侵攻速度が著しく低下。加えて、その後のウクライナ軍による巧妙かつ効果的な反転攻勢で、ロシア軍は占領地を奪還されたり、反撃の強さに堪えかねて撤退したりする事態となっています。
かつての第2次世界大戦時の戦況をひもとくまでもなく、ウクライナの国土の大部分を占める平原地帯で戦いを有利に進めるには、走・攻・防の3要素にまんべんなく秀でた戦車が不可欠です。そこで改めて、同地に投入された代表的なロシア軍戦車についてみてみましょう。
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ロシア軍がウクライナ領内に遺棄していったT-72戦車。ウクライナ軍が再整備して自軍装備として運用している(画像:ウクライナ軍参謀本部)。
ウクライナはかつて旧ソ連邦の一部だったので、兵器体系は旧ソ連/ロシア型です。さらに戦車に関していえば、旧ソ連時代の同地には有力な戦車工場が存在しており、それらは今も稼働しています。
このような背景から、侵攻してきたロシア軍戦車は、ウクライナ軍にもなじみ深い型式だったり、熟知しているメカニズムが使われたりしています。しかも、ロシア軍戦車兵は戦意が低いからか燃料切れや些細な故障で“愛車”を遺棄するだけでなく、戦わずして無傷のまま放棄して逃げてしまうこともあるようで、結果、ウクライナ軍はロシア軍戦車を大量に鹵獲(ろかく)し、それを再生して活用しています。
その代表格が、T-72シリーズです。1970年代に登場したので古い戦車ですが、実は、戦車という「器」に盛り込まれた「中身」である砲などの兵装、エンジンなどの駆動系、FCS(射撃管制装置)などを更新することで、相応に寿命を延長することが可能です。さらにこれらの“入れ物”といえる車体と砲塔、すなわち「ドン殻」ですら、増加装甲などを施して近代化することができます。
かようなわけで、ロシア軍はT-72シリーズの改修型であるT-72B3Mを主力戦車として侵攻を開始しました。
そして、軽微な損傷、燃料切れ、あるいは乗員に放棄されるなどしたT-72は、ウクライナ軍に鹵獲され、当然ながら同軍で再使用に供されています。
T-72ベースの発展型T-90
このT-72の発展改良型がT-90で、同じようにウクライナ侵攻に投入されています。そもそも旧ソ連は、T-72のほかにT-64とT-80といった戦車も装備していました。前者はT-72に比べて先進的でしたが、T-72の評判がよく、発展改良型の開発は行われませんでした。一方、後者は先端技術を用いた戦車として開発されました。しかしコストの問題などで発展させられることはなく、両者で得られた技術的アドバンテージは、のちのT-72の改修に活かされました。
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ウクライナ軍参謀本部が公式ツイッターで公開した鹵獲T-90Mの画像(画像:ウクライナ軍参謀本部)。
こうしてT-72にT-80の性能をフィードバックさせた、発展型として誕生したのがT-90です。主砲はT-72に搭載されているものの改良型で、9M119M「レフレークス」対戦車ミサイルを発射できます。なお、T-90はT-80より安かったため、ロシア軍が装備するだけでなく輸出用として諸外国にも販売されました。2022年現在、シリーズの普及型はT-90A「ウラジーミル」で、これがウクライナ侵攻にも用いられています。
つづき
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