1/28(土) 9:01    MINKABU
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 ウラで、インチキをやっているのではないか――。岸田文雄首相が推し進める増税政策に国民の不安が高まる中、そう思われてもおかしくないぐらい、主張を180度転換した政党がある。公明党のことだ。なぜ、今になって有権者を裏切るような姿勢を取るのか。ジャーナリストの小倉健一が解き明かす。

岸田首相にとって増税は、彼の政治家人生のハイライト
 1月19日に、防衛費増額の財源論について議論するため、自民党の特命委員会が発足した。ここで萩生田光一自民党政調会長が委員長となって「税以外の財源の具体的なあり方について丁寧に議論し、国民の皆さまにも納得していただける説明ができるよう、責任ある議論を行っていきたい」と発言した。

 防衛費増額の財源を巡っては、政府と自民党は2022年末に、法人税等の増税による税収で4分の1を賄い、4分の3は歳出改革等で確保する方針を決めたが、この増税部分を圧縮しようと萩生田氏は意図しているようだ。果たして思い通りにことが運ぶだろうか。

 残念ながら、岸田首相の増税への思い入れは、政治家人生のハイライトのようなものであり、修正が困難だ。安倍晋三政権での政調会長時代には、「財政健全化の道筋を示すことが、消費を刺激して経済の循環を完成させる」「財政出動が将来への不安を増大させかねない」「最優先の課題として消費税引き上げが必要」と繰り返し主張してきた。

 財政出動をすると将来への不安が増し、増税すると将来の不安が消える。ゆえに、増税することで消費が刺激され、経済成長するという謎の理屈を、本気で主張してきた。だったら、なぜ、消費増税をするたびに消費が落ちるのかを説明してほしいが、何か見えないものが見えているのだろう。

参院選では増税反対の立場だった公明党が突然、態度を豹変
 そんなよくわからないものが見えている「岸田増税」路線に、突如、歩調を合わせてきたのが、公明党である。

 公明党の北側一雄副代表は、1月19日の記者会見で「国民負担の軽減に向け、どのようなアイデアが出てくるのか、関心を持って見ていきたいが、去年の年末に政府・与党で一定の国民負担について方向性を出している」として、増税はもう決まったんだから、諦めろとでもいいたげな発言をした。

 また、菅前首相が増税の方針について「議論が不十分で突然だった」と指摘したことについても「防衛力の抜本的な強化の必要性は、去年のかなり早い段階から岸田総理大臣らが発信し、安定的な財源の確保は大きな課題だった。唐突に増税の話があったとは理解していない」と、岸田首相におもねるような発言をした。

 ところが、昨年夏までの公明党は、増税は国民の理解を得られない、という立場であった。

『公明党の山口那津男代表は(8月)23日の記者会見で、防衛費増額の財源としての増税に慎重な見方を示した。「ただちに国民の理解を得るのは難しい」と述べた。他の歳出分野との調整などに触れ「総合的に勘案して結論を出していくべきものだ」と強調した。防衛費を巡っては岸田文雄首相が「相当な増額の確保」を打ち出している。山口氏は財源として歳出の削減、経済成長による税収増、増税と国債発行の4つがあると指摘した。「どれを選択していくか、国民の理解を得ていく必要がある」と語った。防衛費増額はまず強化すべき中身を積み上げて方向性をまとめる必要があると提起した。「それを確保する財源をどう手当てしていくかという順序で議論をしていくべきだ」と話した。山口氏は6月のBS番組でも防衛費増額の財源に国債を充てる案に関し「安易に頼るべきではない」との認識を示していた』(日本経済新聞・2022年8月23日)

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