0001きつねうどん ★
2023/01/29(日) 14:39:43.21ID:9FNzF6Syhttps://static.tokyo-np.co.jp/image/article/size1/7/4/c/f/74cf7babec65ed794e897de3d308a30c_1.jpg
「猫も人も健康寿命を延ばせる薬を作りたい」と話す宮崎徹代表理事=東京都新宿区のAIM医学研究所で
開発中の治療薬は、人や動物の血液の中にある「AIM」というタンパク質を活用するものです。体の細胞はタンパク質でできていて、日々新しいものに入れ替わりますが、その過程で老廃物の「ごみ」が生まれ、それが体内にたまると、さまざまな病気の原因になります。
AIMの役割は、例えるなら粗大ごみを収集するときに張り付ける「収集シール」のようなものです。血液の中には体の老廃物を食べる免疫細胞「マクロファージ」がありますが、目印がなければ、どれがごみなのかわかりません。AIMは普段、抗体の一種の「IgM」とくっついていますが、ごみがたまるとIgMから離れ、自らごみとくっついて「ここにごみがある」とマクロファージに伝えます。自分もろともマクロファージに食べさせることで、ごみを処分するのです。
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●たまたま
猫は先天的にAIMがIgMから離れにくく、うまくごみを排除できません。その結果、多くの猫が腎臓病になって命を落とします。腎臓は老廃物をろ過し尿として排出する器官なので、ごみが増えて目詰まりすると働きが落ちてしまうのです。宮崎さんは「猫の死亡原因の一位はがんで、二位は腎臓病。だが、がんで死んだ猫を解剖すると腎臓はぼろぼろ。直接死因はがんが多くても、猫の腎臓病の罹患(りかん)率は100%とも言える」と説明します。
宮崎さんがAIMを発見したのは、一九九九年、スイス・バーゼル免疫学研究所で研究していたときです。免疫に関係する新しい分子を探していてAIMを発見しました。正体を突き止めようとしましたが、免疫関連のタンパク質だという先入観があったため、なかなかわからなかったといいます。
転機が訪れたのは、米テキサス大で免疫学の研究を続けていた二〇〇三年ごろでした。コレステロールの研究で一九八五年にノーベル医学生理学賞を受けたマイケル・ブラウン教授に大学の廊下でたまたま出会いました。「やあ徹、研究はどうだ」と声をかけられ、「なかなかAIMの正体がわからなくて」と答えました。するとブラウン教授は「太ったマウスで研究してみたらどうだ」とアドバイスをくれたといいいます。
「肥満は関係ないのでは」と思いつつ調べると、AIMが足りないマウスは太りやすく、AIMを注射すると痩せることに気づきました。肝臓を調べると、たまった脂肪から肝臓で生まれるがん細胞まで、AIMの働きで掃除されることがわかりました。肝臓病や腹膜炎のマウスにも試し、約五年かけてAIMの役割を解明しました。