1/29(日) 17:00    朝日新聞デジタル
https://news.yahoo.co.jp/articles/db428a0791eba15f9c706d763481b1c45ff7032d

 大阪大などのチームは、正常な受精に欠かせない遺伝子をマウスの実験で発見した。この遺伝子が働かない精子は、先端にかぶさる「キャップ」のような構造が外れず、受精が起きなくなった。同じ遺伝子はヒトにもあり、これまで原因が分かっていなかった不妊の診断や治療につながる可能性があるという。

【写真】マウスの精子の先端の様子。キャップのような「先体」が普通は自然に外れるが、特定の遺伝子を失ったマウスでは外れず、受精がうまくいかなかった=大阪大学提供
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20230127004308.html?oai=ASR1W6TH4R1VPLBJ001&ref=yahoo

 チームが注目したのは、射出直後の精子の先端にある、薄い膜でできた「先体(せんたい)」と呼ばれる構造。ペン先のキャップのような形をしており、通常は卵子に向かって泳ぐうちに外れて、中にある酵素などが放出される。一方、先体が残ったままでは、受精が起きにくいことが知られていた。

 そこでチームは、先行研究を元に、先体に関わるとみられるマウスの三つの遺伝子に着目。それぞれの遺伝子を働かなくしたところ、「Fer1l5」という遺伝子がないマウスの精子では、先体がほとんど外れなくなった。

 精子の運動能力や見た目に明らかな異常はなかったが、卵子の近くまで到達することはできても、卵子を包む「透明帯」を通過できず、受精率が激減していた。

 このためチームは、この遺伝子がマウスの受精に必須だと結論づけた。