1/29(日) 12:25   クーリエ・ジャポン
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富裕な実業家だったウクライナ人のアレックスは、戦争の勃発ともに徴兵され、前線で負傷して捕虜となる。解放後、ロシアの収容所で経験した苛烈な拷問や極限の精神状態を英誌に語った。

【写真で見る】ロシア軍の拷問部屋
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「お前をレイプして打ち殺す」
ロシアがウクライナへの侵攻を開始した2022年2月24日、40代のアレックスはウクライナ国軍に徴兵され、すぐに首都キーウから30キロ北に離れた村に動員された。

底冷えの寒さのなか、食料は固くなったパンだけだった。ロシア軍の戦車の砲撃で、26人いた部隊の半数が死に、生存者もほぼ全員負傷した。アレックスの両脚にも、榴散弾の破片が突き刺さった。

最年長のアレックスは、若い兵士たちにとって父親のような存在だった。彼は幼少時の記憶を掘り起こして祈りの言葉を思い出し、部隊での祈祷を主導して、最悪の事態に備えた。戦場で降伏を求めるロシア兵の声が聞こえてくると、アレックスは自分のこめかみに銃口を当て、引き金を引いた。

だがその瞬間、誰かが銃身を押しのけたせいで、銃弾は壁に命中した。アレックスは言う。

「おそらく私はこの先ずっと、このときの決断は正しかったかのかと、自分に問い続けるでしょう。死んで英雄になるのと、若い兵士の生命を救うために力を尽くすのと、どちらがよかったのか、とね」

アレックスたちが駐留していた村は、ロシアの精鋭部隊に包囲されていた。ウクライナ軍は降伏するしかなかった。

ロシアの精鋭部隊は礼儀正しかったが、その後に移送されたベラルーシ領のロシア軍基地では、チェチェン人の下士官に「お前をレイプして撃ち殺す」と脅迫された。基地内には、暴行を受ける捕虜の叫び声が響いていた。

アレックスはそこで、尋問を受けた。名前と階級、職業と勤務先を聞かれ、彼が富裕な実業家だと判明すると、2万ドル(約260万円)を払えば夜にはウクライナへ帰してやると持ち掛けられた。

有用な内部情報を探り出す機会だと考えたアレックスは、誰に、どのように送金するのかを尋ねてから、そんな大金は持っていないと伝えた。

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