【ソウル聯合ニュース】1970年代に韓国でスパイ活動の罪を着せられ、2018年に再審無罪となった在日韓国人の故キム・スンヒョさんの遺族が、国を相手取り損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が1日、ソウル高裁であった。高裁は政府に対し、遺族への約25億1000万ウォン(約2億6600万円)の支払いを命じた。

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故キム・スンヒョさん。2018年撮影(資料写真)=(聯合ニュース)

一審判決では遺族への賠償金を約15億7000ウォンとし、治療費などとして最長14年間、月に211万ウォンの支払いも命じていた。

キムさんは1973年にソウル大に進学し、翌年、スパイ活動をしたとして情報機関の中央情報部(KCIA、現・国家情報院)に連行された。拷問を受けた末に自身をスパイと認める偽りの自白を強いられ、懲役12年などを言い渡された。

服役中には統合失調症を患い、81年の仮釈放後も拷問の後遺症で精神的に苦しみ、外出もまともにできなかったとされる。

2016年11月、キムさんに代わって兄が再審を請求。裁判所はキムさんが違法な逮捕と捜査により虚偽の自白をしたと認め、18年8月に無罪を言い渡した。

キムさんと家族は19年3月、国に損害賠償を求める訴訟を起こし、21年1月の一審判決でキムさん側の主張が認められた。キムさんは判決の1カ月ほど前の20年12月に京都市内の自宅で死去している。

公権力により人生を踏みつぶされたキムさんの人生は、韓国のドキュメンタリー映画「スパイネーション/自白」(2016年)でも被害者の一人として取り上げられた。同作品は情報機関による北朝鮮スパイ捏造(ねつぞう)事件の真相を追った。

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