ロシアのプーチン大統領は2日、第2次世界大戦の激戦地だった南部ボルゴグラード(旧スターリングラード)を訪れ、ロシアの前身、ソ連がナチス・ドイツに勝利したスターリングラード攻防戦の終結80年に合わせて演説した。プーチン氏は「祖国や真実のため、不可能に挑む血が我々には流れている」と述べ、ロシアのウクライナ侵略を独ソ戦に重ねて国民に結束を訴えた。

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2日、ロシア南部ボルゴグラードで演説するプーチン大統領=AP

 プーチン氏は演説で、独ソ戦の勝利につながった分岐点とされる攻防戦について「不屈の象徴」と偉業をたたえ、ウクライナ侵略での「勝利を確信している」と語った。しかし、ロシアが自ら始めた侵略を、ソ連がナチス・ドイツに攻め込まれて始まった独ソ戦と同一視するプーチン政権の手法は、国際社会から強く批判されている。

 プーチン氏はドイツがウクライナに主力戦車「レオパルト2」を供与することに触れ、「我々は再びドイツの戦車に脅かされることになった。ナチズムが現代の装いで、我々の安全保障を脅かしている」と主張した。

 独ソ戦で米英の支援を受けた事実には言及せず、「再び集団的な西側を撃退しなければならなくなった」と述べた。ウクライナ侵略を「祖国防衛」の戦いにすり替え、国民に侵略への協力を呼びかける姿勢を鮮明にした。

 一方、ウクライナのオレクシー・レズニコフ国防相は1日、フランスのテレビ局とのインタビューで、ロシアが侵略1年となる24日頃に「大規模な攻撃を試みる」との見方を示した。

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