2/5(日) 17:51    毎日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/4116bcc3c0dfd4800a9de3118da5a200f734903d

 LGBTQなど性的少数者に対する差別発言をした荒井勝喜首相秘書官が4日に辞任した。2014年に芸能人として初めて女性同士の結婚を発表し、「同性婚」の言葉が国内で周知されるきっかけとなったタレントの一ノ瀬文香さんは、毎日新聞の取材に「誰にとっても幸せな社会になって」と訴えた。政権を担う自民党については「家族の在り方に寛容な保守であってほしい」と語った。

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 ◇多い「無自覚の差別」

 同性愛カップルは結婚が法的に認められないため、パートナーが亡くなったときに2人で購入した自宅まで遺族に取り上げられたケースなど、現在に至るまで大変な理不尽な目に遭い、悲しい思いをしている性的少数者の人たちがいる。差別的な発言を決して許してはいけない。

 あらゆる人々が自己受容でき、さまざまな他者を尊重することで、誰にとっても幸せな社会になってほしいと思う。(同性婚を認めても)同性愛者にとって幸せな選択肢が増えるだけで、同性愛者でない人にとっては何も変化はない。何を恐れているのだろうか。

 政権を担う与党には、現実を直視し、家族の在り方に寛容な保守であってほしいと思う。自民党内にも、まだ一部ではあるが、LGBTQの実情に詳しく、社会の世論と党内とのギャップを感じている人もいる。党全体で学び、行動してもらいたい。

 LGBTQに関する講演を各地でしていると、LGBTQに対して悪意を持ち「差別してやろう」と思っている人は少ないと感じる。多いのは「無自覚の差別」だ。男や女はこうあるべき、幸せな生き方はこうあるべき、理想的な姿は皆同じだ、という「思い込み」の強さからくるものだ。その思い込みがなくなれば「自分はこんなはずじゃなかった」と、理想とのギャップで苦しむ人もいなくなる。【聞き手・安部志帆子】

 ◇いちのせ・あやか

 2014年に芸能人として初めて女性パートナーとの同性婚を公表。15年4月に結婚式を挙げ、役所に婚姻届を提出したが「不適法」を理由に不受理になった。タレント活動のほか、「異セクシュアリティ交流BAR」を経営。LGBTQに関する講演活動も行っている。42歳。