北東北を中心に発展してきた混浴文化を守ろうと、環境省東北地方環境事務所は4、5の両日を「混浴宣言の日」と銘打ち、入浴時のマナー向上を目指す実証実験を松川温泉(岩手県八幡平市)で行った。男女の出入り口を分けたり、浴槽内についたてを設けたりする試みで、混浴への抵抗感を和らげるねらいがある。

 同事務所が管理する十和田八幡平国立公園内には、松川温泉をはじめ計13か所の混浴施設がある。江戸時代以降、湯治場としてにぎわったが、近年はのぞき見などのマナー違反が目立つようになり、全国的に減少傾向にあるという。

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ついたての奥から混浴露天風呂に入る女性客(岩手県八幡平市の「峡雲荘」で)=環境省提供

 実証実験が行われた旅館「峡雲荘」の混浴露天風呂では、男女共同で利用していた脱衣所を女性専用とし、男性は内湯を通って入るように動線を分離。入浴時の目隠しとして、湯船の中についたてを設けた。同事務所は今後、入浴客へのアンケート結果をもとに、マナー改善策を検討する。

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実証実験の期間中は、「手を伸ばしても触れない距離を保つ」などの「混浴3か条」が呼びかけられた(5日、岩手県八幡平市で)

実証実験の期間中は、「手を伸ばしても触れない距離を保つ」などの「混浴3か条」が呼びかけられた(5日、岩手県八幡平市で)
 仙台市から毎年訪れているという中学教諭(27)は「これまでは人がいない時間帯に入浴するなど、気をつかうこともあった。誰もが安心できる良い取り組みだと思う」と話していた。

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