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東部ドネツク州バフムトでロシア側と交戦するウクライナ兵(ロイター)

ウクライナ侵攻から1年を前に、ロシアのプーチン大統領は21日に年次報告演説を行う。ウクライナでの「戦果」を強調するとみられるが、ロシア側の死傷者は最大20万人とされ、死屍累々というのが実情だ。残虐行為を重ねるロシア兵に加え、プーチン氏ら指導部を特別法廷で「侵略罪」に問う動きも出ている。



ペスコフ大統領報道官はプーチン氏の年次報告演説について、「特別軍事作戦」が主要テーマとなるとの見方を示した。ウクライナ東部と南部4州の併合を一方的に宣言したことなどを戦果として誇るとみられる。

だが、ウクライナは激しい抵抗を続けている。ゼレンスキー大統領は19日のビデオ声明で、東部ドネツク州ウグレダル方面での戦況について、非常に困難だが「敵を打ち破り、極めて明白な損失を与えた」とする。

英国防省は、昨年2月24日のウクライナ侵略開始以来、ロシア軍と露民間軍事会社「ワグネル」の死傷者が計17万5000~20万人に上り、うち戦死者が計4万~6万人を占めているとの分析を公表した。ロシア側の死傷者が、予備役を招集する昨年9月の「部分的動員」の実施後に急増したと指摘している。

ロイター通信によると、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官も、ワグネルが「3万人以上の死傷者を出し、うち9000人が戦死した」との推計を明らかにした。カービー氏は今年1月、ワグネルは刑務所で勧誘した囚人4万人を含む計5万人をウクライナに派遣していると指摘していた。

甚大な被害を出しているロシア側だが、同情の余地はない。19日に閉幕したミュンヘン安全保障会議では、米国がロシア軍の残虐行為を「人道に対する罪」で裁くことに支持を表明した。ハリス米副大統領は「妊婦が産科病院で殺された。4歳の子供が性的暴行を受けた」として、「人道に対する罪」に疑いはないと断言した。

ウクライナ側は「プーチン大統領を免責させない仕組み」として「侵略罪」を裁く特別法廷設置を訴え、エストニアのカラス首相が支持した。カラス氏は、国際刑事裁判所(ICC)はロシア軍の残虐行為、特別法廷は指導部の侵略罪をそれぞれ裁くという考えを示した。

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