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「行政文書」であると認められた内部文書。高市氏(写真)は不正確だと反論している

総務省は7日、立憲民主党の小西洋之参院議員が公表した同省の内部文書とされる資料を公式な「行政文書」と認めた。野党は、安倍晋三政権がテレビ番組に圧力をかけようとした証拠だと批判している。ただ、文書の記述は推定や伝聞に基づくものも含まれるうえ、「公共の電波」を使って放送されるテレビ番組の「政治的公平」は以前から問題視されてきた。行政文書を提供したとされる総務官僚の行為に、法的問題(国家公務員法違反など)はないのか。総務省内に残る「旧自治省」と「旧郵政省」の対立と、高市早苗経済安全保障担当相が追及される背景とは。いくつかの論点を取材・考察した。



「文書の内容が正確なものだったかなどを、総務省で引き続き精査している」「経緯は総務省が国民に分かりやすく適切に説明することが重要」

岸田文雄首相は7日の衆院本会議で文書について問われ、こう答えた。

問題の文書は78ページ。小西議員が総務省職員から受け取ったとして2日に公表した。安倍政権当時の2014~15年、官邸側と総務省が放送法をめぐって協議した経緯という。総務省は7日、行政機関の職員が職務上つくり、組織的に用いるものとして保有する「行政文書」と認めた。

野党側は「放送法の解釈を事実上変更し、番組に圧力をかける目的があった」などと批判している。

新聞や雑誌などと違い、国民共有の財産である「公共の電波」を使用するテレビ局の番組に対しては、放送法が定められている。同法第4条では、「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」などと記されている。

昨年、「政治的公平」が疑問視される出来事があった。

テレビ朝日系の情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」で昨年9月28日、同社社員のコメンテーター、玉川徹氏が生放送で、「僕は演出側の人間ですから、テレビのディレクターをやってきましたから、それはそういう風につくりますよ。政治的意図がにおわないように制作者としては考えますよ」と発言したのだ。

テレビでは以前から、特定番組の「政治的公平」が疑われてきた。

米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏は、日本のテレビ番組の現状について「特定の政権や、政策などへの批判や意見ありきで、番組が作成されているようにみえる。賛成・反対意見の放送時間の比重が偏っていたり、反対運動も主催者発表をそのまま流したりしている」テレビは絶大な影響力がある。電波を独占する局だけが情報を統括できてしまう現状は問題だ」などと語った。

「行政文書の提供・流出」も注目点だ。文書の多くには、「厳重取扱注意」「取扱厳重注意」の記載があった。

国民民主党の玉木雄一郎代表は7日の記者会見で、「行政文書が安易に外に流出すること自体、国家のセキュリティー管理としては問題だ」「外に出すことがルールとして駄目だとされているものが、国会議員の手に渡り、国会で議論になり、後付けでそれを認めていくというようなことになった」と批判した。

これに対し、前出の小西氏は「違法行為を告発した総務省職員は、国家公務員の鏡であり、真の英雄です」「『国家公務員法の守秘義務に反せず、むしろ、積極的に法令違反の是正に協力すべき』が政府見解です」などとツイートし、公益通報だと主張している。