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14日の記者会見でコロナに関する考えを述べる丸山達也知事。強い言葉を使った発信が政治家のイメージとして定着した=松江市殿町、島根県庁

 新型コロナウイルスを巡る問題などで、島根県知事の丸山達也氏(52)の発言が度々インターネット上で賛否両論多数のコメントがつく〝バズり〟状態となっている。歯に衣(きぬ)着せぬ言葉で政府への批判や他自治体への問題提起を展開。ただ、全てを感情的にまくし立てているのではなく、県幹部らと議論して準備を進め意図的に強い言葉を選んでいる側面もある。

 「(混雑する)山手線をお年寄りは使うなと言っているようなものだ」。14日に県庁講堂であった定例記者会見で丸山氏は、電車内でマスク着用を求めるアナウンスが打ち切られたことについて考えを述べた。発言がネットニュースに取り上げられると、千件超のコメントが投稿。批判も入り交じり、混沌(こんとん)とした。

 こうした状況は珍しくない。コロナ禍となって以降、丸山氏の発言はその「強さ」ゆえに注目を集める。コロナをインフルエンザ並みの「5類」に移行することに対し「これから起きることは政府が責任を負うだろう」と厳しくけん制し、マスク着用が個人判断となったことと合わせ「吹雪の中でコートを脱ごうとしている」と一刀両断。矛先は時に県内の自治体にも向き、松江市内で感染が急拡大した際には市に対し「県内の感染状況は、松江市問題」と批判した。

 コロナに限らず強い言葉を使った発信の多くは意図的、意識的なもので、丸山氏自身はこうした手法を「強く言わないと論点があることすら世の中に認識してもらえない。メディアにも取り上げられない」と説明する。

 丸山氏の発言は県庁内では一定程度、想定済みだ。部局長を集めた幹部会議やレクチャーを通じ、国や他自治体の動き、報道の状況や各種データを収集して議論。「なぜそうなっているんだ」と背景や理由を納得いくまでやりとりし、発言内容を調整して会見に臨むことが多く、県幹部は「メディアを通じた自身の発言の出方や見え方には相当神経を使っている」と話す。

 再選を目指して23日告示(4月9日投開票)の知事選に立候補する丸山氏は仮に当選した場合、同様の発信を続ける考え。ただ、政治分析が専門で、自身もネットのコメント欄に積極的に投稿する法政大大学院の白鳥浩教授は「強い言葉は同時に多くの批判も集めるもろ刃の剣」と指摘する。

 常に強い言葉を使うイメージが定着すれば「本当に有権者に届けたいときに意図通りに届かず、有権者が(丸山氏の真意を)判断しかねる状況が生まれる可能性もある」と述べた。

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