NHKの今年1~3月の受信契約件数が11万件増加したことが、26日に明らかになった。

 国民の受信料で運営されているNHKの推計世帯支払い率は2021年度が78.9%と、約2割が未払い状態に。

 昨年4月以降、契約件数が想定以上に減少していたNHKは、同年10月施行の改正放送法で、テレビがあるのに受信未契約の世帯などから割増金を請求できる制度を新設。4月から導入の割増金制度の影響で、駆け込み契約が増えたという。

 だが、若者を中心にテレビ離れが加速する中、受信契約が不要なチューナーレステレビの好調な売れ行きと共に、NHKにとって新たな脅威が話題になっている。

 IT大手「Google」が米3大ネットワークのNBC、CBSなど、世界800を超えるチャンネルを「Google TV」で無料で見られるプロジェクトを進めているという。しかも、日本語を含む10を超える言語で視聴できる画期的なプログラムだ。

 ネットでは、《これが日本で実現したら、NHKはお手上げだな》《民放が見られれば、NHKは不要だから、ますますテレビ受像機はいらなくなる》といった声が上がっているが、今のところ、日本での実施は未定のようだ。

■日本の放送局にメリットは?

「放送と通信の定義づけが法律上はっきりしていない中、放送を管轄する総務省がどういう判断を下すのか。民放各局も、それなりのインセンティブが提示されない限り、簡単にこのプログラムに乗ることは考えられないでしょう」(ITジャーナリスト・井上トシユキ氏)

 実際、民放公式見逃し配信アプリ「TVer」のほか、「FOD」(フジテレビ)、「Hulu」(日本テレビ)、「TELASA」(テレビ朝日)、「Paravi」(TBS+テレビ東京)、「ABEMA」(サイバーエージェント+テレビ朝日)、「NHKプラス」など、各社は独自の配信アプリを運営。

「日本の放送局はネット対応ができているので、グーグルにぶら下がるメリットは今のところありません。昨今は、コンテンツは無料で享受できるものと認識している人が非常に多いですが、番組制作には相当のコストがかかっていて、特に緊急時の災害報道などは今のところ、ロボットやAIで置き換えるのは難しい状況です。ただ、人口が減少する中、昭和と同じやり方を平成、令和を越えて維持していくのが困難な状況にあるのは確かです」(井上氏)

 受信料の徴収問題がたびたび批判を集めるNHKをはじめ、放送の在り方が大変革期にあるのは間違いない。

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