韓国に移り住んで「驚いたこと」
韓国の尹大統領が元徴用工問題の解決に本気で動きだすなど、「戦後最悪」とされた日韓関係に変化が起き始めている。

そうした中で韓国では日本への良好が大ブームになり、日本のアニメも大ヒットしている。

この流れが加速していけば、日韓の経済関係も再び活性化していくことが期待されるが、注意も必要だ。

「日韓はわかりあっている」という前提でビジネスを始めてみたら、面を喰らうことが少なくないのが韓国なのである。実際に日本から韓国に移り住む、日韓の間でビジネスをしてきた私自ら経験してきたことなので、それは間違いない。

韓国のことをあまり知らない人や、韓国に憧れている人に必ず聞かれる一つが「韓国人って情が深いんですか」というものである。その点については、私の実感からすれば、韓国では「困ったら助け合う」は、同じ学閥もしくは親戚でのみ通じる言葉なのではないだろうか。

「閥」の力
韓国では10大財閥から派生する財閥系グループが韓国の経済の中心をなしていると言って過言ではなく、その財閥内には学閥や親戚で成り立っている面がある。一見ライバル会社の様でも、じつはトップが学閥や親戚として繋がりがあったりする。

韓国では政権交代によって世の中がひっくり返ることも早いわけだが、それもこのように経済の根幹でつながっている人たちの存在も大きい。政権が変わって政策が大きく変われば、それに一気に合わせていかないと経済も変わってしまい、多くの人たちの生活に直結してしまう面が大きいからだ。

韓国ではサラリーマンにしても、会社内の立場を考えて、デモ集会に行ってきたという人も少なくない。朴槿恵元大統領の退陣デモで、あたかもそれが民主主義と錯覚を起こしていたローソクデモ集会もその一例だろう。

韓国光化門での大きなデモ集会にしても、いわゆるフェスティバル的な要素も含まれていて、週末休日の家族サービスが徹底的に求められる韓国人にはお金を使わず楽しむためのデモ集会参加というケースも少なくない。

そういった意味では「情」が広がっている面はあるのかもしれないが、これから韓国とビジネスをしようとする人たちはその点をしっかり理解しておくことは重要だ。

日本人はお人好し過ぎる…?
一方で、韓国に住んでいると日本人感覚は誇らしいと思う反面、これほどお人好しな国民性もないと感じる。日本人の感覚、常識は世界から絶賛され、その美徳は私も誇るに値すると思える。一方で、海外に出ると、その日本人感覚を逆手に取られて“子鹿”の様なターゲットに見られることもある点には注意したい。

かくいう私も、今までもこれからもその日本人感覚を大事にしていきたいと思っているのだが、そう思うのなら毎年詐欺に遭っても仕方ないと思わざる得ないほどの経験を何度も通り抜けてきた。

海外で暮らして痛感するのは、いつも自分を守ってくれるのは自分なのだということだ。韓国に移り住んで感じたのは、国民の逞しさで判断すると日本人の10倍は逞しいだろうということだった。一方で、韓国人に騙されそうになったことも数えきれないのだが…。

さらにいうと、韓国の若者は「反日」を叫びながらも、それとは別に日本での就職で生活を裕福にしようという貪欲さがあったりする。一方で、韓国に留学にくる日本人に「何で韓国に来たの?」と聞いたときに、日本人女性のアルバイトが泣いてしまったことがある。意気揚々韓国に語学留学に来たが、友人もできず悩んでいたところでの私の質問だったという。

このような実態を理解したうえで、日韓の交流が盛んになっていけば、お互いに“誤解”が少なく済むだろう。相手に対して期待しすぎずに、日韓交流を始めていくことが大切なのではないだろうか、と“経験者”の私からすれば痛感するのである。

https://gendai.media/articles/-/108895