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長距離巡航ミサイル「ストームシャドウ」を搭載した軍用機 skynews/YouTube

<イギリスがウクライナに供与を開始した長距離巡航ミサイル「ストームシャドウ」は、ロシア軍にとってHIMARSハイマースを上回る深刻な脅威>

ウクライナは遂に長射程のミサイルを獲得した。

5月11日、イギリスはストームシャドウをウクライナに提供することを英議会下院で発表した。イギリスのベン・ウォレス国防長官は、長距離ミサイルは「現在ウクライナに向けて搬送中で、すでに到着しているかもしれない」と述べた。

だがウクライナに何個ミサイルを提供したかについては明言しなかった。

ウォレスはさらに「ロシアは、このようなミサイルがウクライナに提供されるに至ったのはひとえに自らの責任であることを認識するべきだ」と述べた。イギリスは以前から、より射程の長い兵器を提供する意思があることを示唆していた。

その後、クリミア併合地域への大統領特使を務めるロシアの政治家ゲオルギー・ムラドフは、ウクライナに長距離攻撃能力を与えたことから、イギリスの国土は「壊滅的に破壊される」可能性がある、とロシア国営メディアに語った。

イギリスの発表に先立ち、ロシアのドミトリー・ペスコフ報道官は、ストームシャドウ・ミサイルが供与されれば、「ロシアの軍隊は適切な対応が必要になる」と述べていた。

早速ルハンスク攻撃に使用
イギリス政府は、供与した長距離巡航ミサイルが民間人を標的にすることはないと声明を出したが、ロシア国防省は13日、長距離巡航ミサイルが12日にウクライナ東部の都市ルハンスクの標的を攻撃するために使用されたと発表した。

ルハンスクは、ロシアが2022年9月に一方的に併合したウクライナの紛争地ドンバス地域の都市。ロシアによる併合の宣言は、国際社会から認められていない。

ロシア国営メディアによると、ロシア国防省のイーゴリ・コナシェンコフ報道官は、ストームシャドウを発射したウクライナ軍のスホーイ24ジェット機と援護していたミグ29戦闘機は、ロシア軍によって撃墜されたと述べた。

ワシントンのシンクタンク戦争研究所は13日、この報道は「ロシアの兵站を狙うウクライナの潜在能力に対するロシアの不安の高まり」を呼び起こしたと述べた。だが、ウクライナ領内のロシア軍に対してウクライナ軍がストームシャドウ・ミサイルを使用した証拠はまだ確認されていない、と同研究所は述べている。

ウクライナを支援する西側同盟国は、ロシア領内への攻撃が可能になるほど射程の長い兵器の提供をためらってきた。

アメリカは高機動ロケット砲システム(HIMARS)、射程を延長したJDAM(統合直接攻撃弾)誘導装置、GLSDB(地上発射小径爆弾)などの武器を提供してきたが、これらは空から発射されるストームシャドウ・ミサイルに比べると射程距離が短い。

ストームシャドウがJDAMやHIMARSなどの兵器と一緒に使われるとしたら、それは「ウクライナ人が反撃可能になる範囲について、ロシアがもっと警戒しなければならない」ことを意味すると、英ロンドン大学キングスカレッジフリーマン航空宇宙研究所の共同ディレクター、デービッド・ジョーダンは11日に本誌に語った。

ストームシャドウの射程距離について、製造元のMBDAミサイル・システムズは約250キロメートル以上と発表しているが、ジョーダンによると、射程距離については議論があるという。